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中央ニュース

2025/06/24

通常国会が閉会 災害対応力強化へ法整備

 第217回通常国会が会期末を迎え、6月22日に閉会した。今回の通常国会では、復旧の遅れを指摘された能登半島地震を教訓として、災害対応力を強化するための法制度が整えられた。道路啓開計画を法定化する改正道路法、水道復旧を迅速化する改正災害対策基本法、緊急物資輸送拠点としての港湾機能を確保する改正港湾法が成立した。
 能登半島地震では、人命救助・ライフラインの早期復旧、孤立集落への交通確保のため、初動対応を強化することが課題となった。改正道路法では、平時からの備えを充実させるため、道路啓開計画を法定計画へと格上げ。計画に基づいて訓練を行うことを要件化し、
災害発生時の道路啓開の実効性を高めるとした。
 陸路が寸断した能登半島地震の被災地では、応急復旧のための資材調達が滞ったことも課題として指摘された。改正港湾法では、緊急物資の輸送拠点として民有港湾施設を使用できるようにするための協定制度も創設された。
 インフラを管理する地方自治体の技術職員不足を補うため、改正道路法、改正港湾法、改正空港法、改正災害対策基本法では、本来のインフラ管理者に代わり、国などが災害復旧や平時の管理などを代行する「権限代行」の制度を拡充。改正災害対策基本法では、日本下水道事業団が水道復旧工事を代行できるようにした。
 建設現場の安全に重要な役割を果たす、改正労働安全衛生法も成立した。
建設アスベスト訴訟の最高裁判決を受け、労働災害から一人親方ら個人事業者を保護する措置を法的に講じる他、個人事業者の労働災害に対する報告制度も創設する。メンタルヘルスの不調を未然に防止するためのストレスチェックは、現在の従業員50人以上の事業場から、従業員50人未満にも対象を拡大する。
 このほか、耐震性が不足するマンションの建て替え決議の要件を所有者の「5分の4以上」から「4分の3以上」の賛成へと緩和する、区分所有法、マンション建て替え円滑化法、マンション管理適正化法の一括改正法も成立した。代金支払いの遅れや不当な減額要求を防止する改正下請法も成立。法律上の用語を「下請事業者」から「中小受託事業者」に改めるほか、手形を支払い手段として禁止する。

提供:建通新聞社