厚生労働省と環境省は、工作物石綿事前調査者の計画的な確保・育成を呼び掛けている。工作物の解体・改修についても建築物と同様に石綿を含む材料の有資格者による事前調査が2026年1月に義務化されるが、現状では有資格者数の不足が見込まれている。建設業団体に対し、制度の概要、有資格者の必要性を傘下企業に周知するよう6月23日付で通知した。
厚労省は、義務化までに6〜8万人の有資格者が必要と推計しているが、3月末時点の資格者は5772人と著しく不足している。通知では、工作物石綿事前調査者の確保と、計画的な講習の申し込み、厚労省が運営する「石綿総合情報ポータルサイト」を周知するよう求めた。
対象となる工作物は、反応槽、加熱炉、ボイラー・圧力容器、配管設備、焼却設備、貯蔵設備、発電設備、変電設備、配電設備、送電設備となる。
煙突やトンネルの天井板、遮音壁、軽量盛土保護パネルなどの建築物と一体になっている工作物は、工作物石綿事前調査者だけでなく、一般/特定建築物石綿含有建材調査者や、日本アスベスト調査診断協会の登録者でも事前調査が可能だ。
また、通知では建築物と工作物の事前調査結果の報告を徹底するよう呼び掛けている。請負金額が100万円以上の建築物改修工事と工作物解体・改修工事や、延べ床面積が合計80平方b以上の建築物解体工事などは、石綿を含有していなかった場合でも、調査結果を電子システム上で報告しなければならない。
この他、調査時の目視確認を省略できる場合を整理し、示した。06年9月1日以降に新築工事に着手した建築物・工作物は、着工日を設計図書などの文書で確認すれば目視確認を省略できる。
提供:建通新聞社