文部科学省は、避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査結果(2024年11月1日時点)をまとめた。防災機能設備の確保状況を見ると、冷房機器の設置率が85・5%となり、前回調査(22年12月時点)と比べ20・6ポイント上昇した。ただ、この調査では学校施設の1部屋以上に冷房があれば設置とみなしており、文科省は熱中症対策の観点からも、地方自治体に冷房設備整備の加速を求めている。
避難所に指定されている全国の公立の小中学校、高校、特別支援学校2万9529校を調査した。文科省は、災害時の利用方針を明確にした上で、優先順位をつけてハード・ソフトを整備するよう求めており、調査結果を踏まえて学校施設の防災機能をさらに強化するよう、6月25日に全国の自治体に要請した。
冷房機器の設置率は85・5%と20ポイント以上、上昇したものの、災害時に避難者が滞在する体育館、会議室、教室のうち1部屋以上の設置で冷房設備を設置しているとみなしており、災害発生時を想定すると十分な環境とは言えない。
別の調査では、学校施設の体育館の冷房設置率が18・9%にとどまっており、文科省は24年度補正予算で創設した「空調設備整備臨時特例交付金」を活用し、冷房設置を加速するよう呼び掛けている。
この他の防災機能設備の調査結果を見ると、自家発電設備、再生可能エネルギー、蓄電池などの非常用発電機を整備している学校は全体の77・2%となり、前回よりも4・0ポイント上昇した。今回は、シャワー・プールの浄水装置や耐震性貯水槽など、災害時に入浴・洗濯などの生活用水を確保している学校を初めて調査し、全体の36・7%で設置していることを確認した。
提供:建通新聞社