国土交通省は、港湾工事の省人化に向けて、グラブ浚渫船の自動・自律化と水中用ICT建設機械(水中バックホウ)の普及拡大を目指している。2025年度から実装に向けて安全管理ガイドラインや施工管理の手順の整理を開始。現地実験も実施し、省人化や効率化の効果が確認できれば27年度以降の直轄工事で採用する考えだ。
作業船の自動化と水中用ICT建機の活用に関しては、内閣府の「BRIDGE」の25年度事業として採択されている。国交省は、この事業での検討に加えて、現場のニーズに合わせた実装を進めるためのワーキンググループを開催し、26年度末までに施工手順や安全管理に関するルールをまとめる。
作業船の自動・自律化に向けては、立ち入り禁止区域の設定や作業中止の基準などを定めた安全管理ガイドラインを策定するとともに、作業性を向上させるための施工手順を整理する。さらに、多くの現場で自動・自律化施工が進むよう、クレーン操作や基本的な風や波の状況を、データ基盤として施工者に共有する方法も検討する。25年度には、4カ所程度で現地試験を実施する予定。
水中バックホウは、防波堤の基礎となるマウンドの均し作業などに活用する。既存の技術では透明度が高い海域でしか使用できず、さらに建機の操作も潜水士が実施している。これを遠隔操作で自動化し、さらに透明度が低くても活用できるシステムを確立することで、作業の安全性や効率性を高める。
提供:建通新聞社