総務省は、地方自治体に対し、工事や委託、物品・役務など原則全ての入札に低入札価格調査制度と最低制限価格制度の導入を検討するよう要請した。6月26日付で都道府県と政令市に通知した。総務省は現在、全ての自治体の導入状況を調査しており、9月をめどに、都道府県・市町村別の取り組み状況を公表する予定だ。
低入札価格調査と最低制限価格は工事と比べ、業務の入札で導入率が低い。総務省の2024年9月末時点の調べによると、工事に低入札価格調査制度を導入していた自治体は38・0%だった。
一方、測量・土木関係調査では6・8%、建築設計・土木設計・設備設計では7・2%の導入にとどまる。道路・公園の維持管理や、街路樹選定・除草・伐採、警備などはさらに導入率が低い。
最低制限価格制度の導入率は、低入札価格調査制度に比べて全体的に高い。業種別に見ると、工事では自治体の72・3%、測量・土木関係調査では44・3%、建築設計・土木設計・設備設計では45・1%が導入している。
総務省は全ての入札に両制度を導入し、過度な低入札を排除することにより、自治体の公共調達における価格転嫁を実現させる。低入札価格調査制度を導入する際には、労務費、原材料費、エネルギーコストが入札価格に反映されていることを入札価格の内訳書で確認すべきとした。
労務費についても、過去の類似の契約と比べて人員数が適切に見込まれているか、都道府県別の賃金水準などの入手可能な資料を基にした単価で精算されているかを調査・確認するよう求めた。
通知では、この他、適切な価格転嫁を実現するため、入札・契約手続きでの留意事項を示した。需給の状況、原材料費、人件費などの実勢価格を踏まえた予定価格を設定し、定期的に価格交渉を協議する場を設けるべきとした。複数年度にわたる契約にはスライド条項を盛り込み、指定管理者制度では指定管理料を毎年度見直すことも適当だとしている。
提供:建通新聞社