国土交通省が建設業の一人親方本人に対して行ったアンケートで、企業から「雇用契約を打診されたことがある」と回答した一人親方は34・8%だった。希望する就業形態については「今後も一人親方として働きたい」との回答が65・9%を占め、特に働き方の柔軟さをメリットに挙げる声が多かった。「雇用労働者として働きたい」との回答は6・7%にとどまった。
今後も一人親方として働くことを希望する回答者に理由を聞いたところ、「好みの仕事を選べる」が64・3%で最多となった。次いで「高い報酬が得られる」(39・3%)、「指揮命令下に置かれず自由に仕事ができる」(29・7%)といった回答が続いた。
雇用労働者としての就労を希望する回答者は、「安定した収入が得られるため」(69・1%)や「社会保険等の加入、福利厚生を受けられるため」(62・5%)を理由に挙げた。
一人親方となった経緯は「自らの意思でなった」が86・1%と大半を占めているが、「雇用した企業から促され、ならざるを得なかった」との回答も10・0%あった。促されて一人親方になった回答者のうち、22・0%は「できれば雇用労働者として働きたい」との希望を持っていることも分かった。
工事を請け負う際、見積書を提出していない一人親方は63・2%となり、過半数を占めた。見積書を提出しない理由は、「提出する習慣がない」との回答が67・8%を占めた。「提出しないよう指示された」との回答も1・9%あった。
書面契約を行っていない回答者も43・6%と半数近くいた。その理由を「書面契約を行う習慣がない」が88・5%で最多だった。書面契約を行った場合、必要経費について「全て反映されていた」との回答が55・5%を占めるなど、処遇改善にも一定の効果があった。
発注側である建設業者を対象とした別の調査でも、一人親方と書面による見積もり・契約を行っている例は半数程度にとどまっており、書面による取引慣行が根付いていないことをうかがわせる結果となった。
調査は、従業員を雇用していない一人親方を対象として2024年11月〜12月に実施した。有効回答は2277件。50歳以上が60・0%を占めるなど高齢化も進展している。偽装一人親方が疑われる10代の一人親方は0・1%、経験年数3年未満未満は1・5%で、いずれも23年調査から減少した。
提供:建通新聞社