国土交通省は7月15日、河川事業の評価手法に関する研究会を開き、水害後に被災者が自宅に住めない不便さを、被害額として便益算出方法の項目に盛り込むため、評価手法案を提示した。被害額は、被災した家屋の帰属家賃と、避難所や仮設住宅での仮住まい期間の2要素で評価する予定だ。
現行の河川事業の便益算出方法では、建物や道路などへの物理的な直接被害の項目が多く、水害による家計や企業活動への間接被害の全てを算出しているわけではない。国交省は、間接被害の項目を増やす方針で、追加する項目として「家屋復旧過程被害」を挙げた。
家屋復旧過程被害は、家屋の帰属家賃と仮住まい期間を軸に、復旧手段別に基準額を算出し、基準額と浸水深別復旧割合、世帯数を踏まえて決める。
基準額は、建て替えの場合、帰属家賃と、工事契約までの月数・建築工事月数を掛け合わせ、被災家屋の解体費用を合算する。
新たな家屋を借りる場合は、帰属家賃に賃借契約までの月数を乗じ、被災家屋の解体費用を足す。補修する場合は、帰属家賃に浸水深別家屋被害率と、補修工事契約までの月数・補修工事月数を乗じ、被災家屋の解体費用を足す。
国交省は今後、これまでに被害を受けた地域のデータ収集や被災世帯への個別ヒアリングを通し、評価手法案の妥当性を検証する。次回以降の研究会では、人的被害や企業の営業停止・停滞被害といった間接被害についても議論する。
提供:建通新聞社