国土交通省は、建設キャリアアップシステムを活用した技能者の能力評価制度に関するガイドラインを改正した。複数の能力評価基準で能力評価を受けていることによって、多能工であることを示せることを明確にした。教育訓練の日数や、ヤードでの製造・加工に従事した日数を就業日数に算入できることも盛り込んだ。
多能工は、連続した複数の作業・工程を遂行するスキルを備えた技能者。作業の効率化に加え、繁閑差がある場合にも技能者の稼動率を維持できる多能工への関心は高い。CCUSの利用拡大に向けて2024年度に策定した3か年計画では、能力評価の基準整備を検討課題に位置付けていた。
多様なスキルの組み合わせごとに能力評価基準を作ることは難しく、今回のガイドライン改正で、複数の能力評価基準で能力評価を受けていることをもって多能工であることを示せるようにした。
ただ、就業履歴が複数のCCUS職種コードに分散して蓄積されると十分な日数を得られず、能力評価を受けることが困難になってしまう。そこで、ガイドラインでは、主な職種と「関連する技能を要する職種」や、「前後工程の職種を担う職種」を「関連職種等」と規定。主な職種と合わせ、関連職種のCCUS職種コードを合わせて設定し、就業履歴を蓄積できるようにする。
左官の技能者が防水も含めて能力評価を受けるようなイメージだ。間口を広げ、複数職種でレベルアップしやすくする。
また、見習い期間中に普通作業員として就業履歴を蓄積する場合、普通作業員の職種コードも合わせて設定するよう求めている。
ガイドライン改正では、教育訓練や社内研修の取り扱いも整理した。技能研さんのために訓練・研修を受けた日数についても、就業日数に算入できることを明確にした。例えば、教育訓練校にカードリーダーを設置し、就業履歴を蓄積することが考えられる。
同様に、施工の準備のため、製造や加工、機械整備などに従事した日数についても就業日数に算入できると記載。この場合、専門工事業者が自社の事務所や作業場を現場登録し、就業履歴を蓄積することになる。
時間外労働の罰則付き上限規制の適用を踏まえ、建設現場の付近にヤードを設けて設備の組み立て作業を可能な限り行うようなオフサイト化も進む。元請けが現場に設置したカードリーダーでなくとも就業履歴を蓄積できることを明確にし、就業履歴の蓄積を後押しする。
提供:建通新聞社