日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、民間建築工事での働き方改革に向けた「適正工期確保宣言」について、会員企業に対するフォローアップ調査の結果(2024年度下半期)をまとめた。現場の4週8閉所、週40時間稼働を原則とした「真に適切な工期」で初回見積もりを作成した工事は調査対象の91・7%、提出した見積もりが契約に反映された工事は94・7%となった。時間外労働の上限規制適用を受け、発注者にも適正工期に対する理解が広がったことを裏付ける結果だ。
適正工期確保宣言は、時間外労働の上限規制を控えた23年7月に日建連がまとめたもの。現場の4週8閉所と週40時間稼働を原則とする「真に適切な工期」を民間建築の発注者に理解してもらうため、日建連会員企業が宣言を前提とした工期で見積書を提出するとした。
24年度下半期の調査は、▽請負金額1億円以上または工期4カ月以上▽労働基準法第33条の適用を受けない現場▽JV工事のスポンサー工事―といった条件で、78社の対象工事2331件を集計した。
調査結果によると、初回見積もりの際に「真に適切な工期」で工程を算出し、発注者に提出した工事は68・9%。発注者が指定した工期がすでに「真に適切な工期」だった22・8%と合わせると、見積もり段階で91・7%の工事で「真に適切な工期」で工期を設定されていた。
会社別で見ると、全ての初回見積もりを「真に適切な工期」で提出した会員企業は38社と48・7%を占めた。75〜100%の工事の見積もりを「真に適切な工期」とした企業も28社(35・9%)あった。
見積書の契約への反映状況についても回答を求めた。初回見積もりを「真に適切な工期」とし、契約に至った1582件のうち、契約に反映できた工事は94・7%に当たる1498件だった。
回答者からは、「用途・規模・施工状況に応じた工程表を提示し、発注者に理解してもらった」「発注者の指定する工期は短かったが、契約時に理解してもらい、工期や必要な労務増員も反映された」といったコメントも寄せられている。
一方、契約に反映されなかった工事については、「発注者の決算や予算消化を見越した工期設定とされていた」「補助金工事のため、年度末竣工を厳守とされた」などの声が出ている。
提供:建通新聞社