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中央ニュース

2025/07/28

電子契約の活用9割超 次の課題は書類電子化

 国土交通省の調査によると、公共工事の契約に電子契約システムを活用している都道府県・政令市は63団体となり、全体の9割超に上っていることが分かった。このうち24団体は設計図書を含めた契約関係書類の電子化にも取り組んでいた。受発注者の事務負担軽減へ、国交省は電子化を通じた発注関係事務のペーパーレス化をさらに促していく。
 第3次担い手3法でICTを活用した生産性の向上が位置付けられたことを受け、国交省は昨年末、ICT活用指針をまとめている。特に電子契約については、一連の契約手続きをインターネットを介して行うことで、印紙税や移動費・郵送費を削減できるため、受発注者双方の負担を軽減する観点から導入を推進するとしていた。入札契約適正化指針、品確法基本方針にも電子契約の活用は明記されている。
 都道府県・政令市の状況を見ると、「原則全ての工事で電子契約システムを活用している」は19団体、「一部の工事で活用している」は18団体、「試行的に導入している、導入を検討している」は26団体で、これらを合わせると63団体と大半が電子契約を試行・活用している。「検討していない」との回答は4団体だった。
 電子契約の効果をさらに高めるには、契約関係書類の電子化や電子決済の活用が有効。電子契約を一部でも活用している都道府県・政令市43団体のうち、設計図書を含めた契約関係書類の電子化に取り組んでいるのは24団体、試行導入・導入検討の段階は14団体だった。電子決済を導入・検討しているのは26団体となった。
 都道府県・政令市と比べると、市町村での電子契約の導入は遅れている。23年度時点の実績は10%未満でにとどまる。
 電子契約を導入する際の課題について自治体にヒアリングしたところ、関係部局との調整の困難さや、システムに不慣れな段階での事務負担の増大、電子契約に対応できない受注者などが挙げられた。
 対応策として、例えば福井県は職員向けに説明会を実施するとともに、受注者向けに説明用の動画・資料をホームページ上に掲載した。横浜市は電子入札システムの契約データを電子契約サービスに連携させ、契約情報の二重入力を不要にするなど、業務の効率化にもつなげた。
 国交省はこうした先行事例を共有し、電子契約に取り組む自治体の裾野を拡大していく。

提供:建通新聞社