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2025/07/30

現場代理人の常駐義務緩和 都道府県・政令市の8割で

 国土交通省が都道府県・政令市を対象に工事の不調・不落対策の実施状況を調べたところ、約8割で現場代理人の常駐義務を緩和していることが分かった。余裕期間制度や、発注・施工時期の平準化に取り組んでいる団体も多かった。こうした対策もあって不調・不落の発生率は近年、減少傾向が続いており、国交省は建設業界に十分な施工余力があるとの分析をまとめた。
 建築工事よりも土木工事で不調・不落対策の導入が進んでいる傾向も見られた。公共工事標準請負契約約款に規定されている現場代理人の常駐義務を緩和する対策は全体の約8割で実施されていた。土木では56団体(83・4%)、建築では51団体(76・1%)が導入していた。
 契約から着工まで、労務や資材の手配のための期間を設ける余裕期間制度の利用は特に多く、土木は全67団体、建築も53団体に上った。施工時期の平準化は、品確法に基づく発注関係事務の全国統一指標に位置付けられていることもあり、土木で62団体、建築で55団体と高い実施率となった。
 入札要件を緩和している団体も多かった。地域要件の緩和(復旧・復興JV以外)は土木で34団体、建築で30団体が実施。復旧・復興JVは土木で13団体、建築で8団体が取り入れていた。等級要件の緩和は土木が45団体、建築が41団体で、地域要件の緩和よりも導入が進んでいた。
 この他、5団体以上が実施していた不調・不落対策としては、一者応札の取り扱いの緩和や、単体とJVの混合入札の導入、JV数の緩和などの取り組みが見られた。
 資材価格の高騰、労務費の上昇が続く中で、こうした価格上昇要因を見込んだ予算編成を行うと回答した団体もあった。積算関係では、実勢価格を反映した適正な予定価格の設定を取り組み事項に挙げる団体が多かった。
 対策の効果もあって、公共工事の不調・不落率は2019年度以降、減少傾向にある。都道府県は19年度の9・5%が23年度には6・2%にまで低下。政令市も12・3%から9・4%にまで下がった。国や高速道路会社などの特殊法人、市区町村を含めた23年度の不調・不落率は9・8%から7・2%に下がっており、不調・不落率の低下は全体的な傾向だ。
 今回の調査結果を踏まえ、国交省は当初予算、補正予算ともに順調に執行できていると分析。個別に見れば業務の繁閑や、職種・地域による差があるとの声もあるが、適切な価格と工期で発注されれば、「公共・民間を問わず、十分に施工可能な余力がある」と見ている。

提供:建通新聞社