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2025/08/01

自動物流道路の最終報告案 地下での整備が有利

 国土交通省は7月31日、東京〜大阪間に整備する自動物流道路についての有識者検討会を開き=写真、自動物流道路の基本的な要件を整理した最終報告案を提示した。地上に自動物流道路を整備する場合には、構造物の移設や基礎の大規模な補強が必要となるとし、地下での整備が有利とした。一方で、地下での整備には地上に比べ高額なコストが想定される。
 基本的な要件として▽対象区間▽拠点▽荷姿▽速度▽その他―の5項目を整理した。搬送速度については、現状のリードタイムと同等とするため、時速70〜80`を目指すとした。この実現には、技術開発が必要とし、民間企業による技術開発を促進するロードマップの策定を求めた。
 地上に自動物流道路を整備する場合は、既存の高速道路の中央帯や路肩・法面を活用する。ただ、地上に整備する場合は、埋設物や地上構造物の移設に加え、高低差や線形の調整が必要となる他、橋梁部で拡幅が必要となれば橋脚や基礎の大規模な補強が必要となるなど、多くの課題が想定される。
 そこで最終報告では、十分に深い地下での整備が有利とした。一方で、地下に整備する場合には、高額な工事費が掛かったり、掘削残土の処理が必要となるなどの別の課題が生じる。
 整備場所の具体化に向けては、東名高速道路の厚木インターチェンジ周辺〜駒門パーキングエリアなど4区間を対象として、2025年度中にケーススタディを実施すべきとした。整備ルートや構造の具体化に向けた検討にもつなげる。代替路や災害時の輸送の安定性、概算事業費などについても検討が必要とした。
 メンテナンスの方法も整理した。自動物流道路は、人が侵入しない24時間稼働の施設とするため、メンテナンスも物流機能を阻害しない手法が求められる。このためにメンテナンスの省人化・自動化につながる技術開発が求められるとした。
 事業形態に対して24年度に民間事業者に行ったサウンディング調査の内容もまとめた。調査では、建設や運営、維持の各段階に共通して、資金調達を課題と捉えていることが分かった。建設については、事業性への懸念から資金が借りられないリスクがあることが指摘された。運営面でも、前例がない事業のため、資金調達が困難であるなどとされた。
 自動物流道路は、30年半ばまでに小規模な改良で実装可能な区間での運用を開始する予定。この他、短距離でも物流効率化の効果が見込まれる区間やエリアでは、早期の実装も検討すべきとした。東京〜大阪間に加え、東関東や兵庫などへの整備も検討する。

提供:建通新聞社