国土交通省は8月6日、2026〜30年度を計画期間とする次期無電柱化推進計画の策定に向けた有識者委員会を開き、高速道路のインターチェンジ(IC)から広域防災拠点を結ぶ区間などを優先して無電柱化する必要性を示した。優先整備を検討する区間には、全体延長の70%に電柱が存在している。
無電柱化は、電柱倒壊による道路閉塞の影響が大きい市街地の緊急輸送道路を重点的に進めている。21〜24年度には、緊急輸送道路などで延長1094`を対象に工事着手したが、管路整備が完了したのは36・2%に相当する397`にとどまっている。
電柱がない区間は、最も重要度が高い第1次緊急輸送道路に限定しても、全体延長5万9678`のうちの47%と半分に満たず、優先順位を明確化して整備を進める必要があるとした。
道路啓開の観点では、▽高速道路ICなどの交通拠点と広域防災拠点を結ぶ区間▽広域防災拠点と防災拠点を結ぶ区間▽防災拠点同士を結ぶ区間―を優先して無電柱化を推進すべきとした。
高速道路ICと主な防災拠点を結ぶ区間には、多くの電柱が残っている。国交省によると、対象となる3500`のうち、電柱がない区間は30%で、残りの70%は無電柱化の工事中だったり、電柱が残っていたりする。距離に換算すると、2450`の区間に電柱が残っていることとなる。
既存電柱撤去の状況も報告した。既存電柱の撤去には道路占用を制限する必要があるが、24年度末時点で占用制限が掛けられているのは、直轄国道の延長43`のみとなっている。
この他、発災時に倒壊した電柱の撤去に関する課題を指摘した。倒壊した電柱の撤去は、道路管理者と電線管理者が協力する必要があり、迅速な撤去に向けては発災時を見据えた協定の締結が重要となる。すでに、全ての地方整備局と45都道府県が電力会社と協定を締結しており、市町村・電力会社間でも協定の締結が進んでいる。一方で、役割分担や費用負担の考え方が協定ごとに異なっているため、迅速な対応の支障となる恐れがあるとした。
提供:建通新聞社