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2025/08/26

建設トップランナーフォーラムB森建設(鹿児島県)「海外事業」と「組合設立」による相乗効果

 森建設(鹿児島県)の森義大社長は「海外事業と組合設立による相乗効果」と題し、ベトナムでの事業展開や人手不足などの課題を解消するために立ち上げた協同組合のメリットについて紹介。外国人材の育成と活用のモデルケースとして注目を集めた。
 創業70周年の節目を迎えた同社は、建設産業のほか、畜産業、観光業などを中心にグループ会社を形成して事業を展開している。多様な業種とネットワークを生かした経営で、直近(2025年3月期)の売上高はグループ全体で約360億円を数えた。
 今回の発表でポイントとなった海外事業は、16年にベトナムのローカル企業「NICON(ニコン)社」と業務提携を結んでスタート。18年に現地法人「MORI VIETNAM」(モリベトナム)を立ち上げて、人材交流を進めてきた。23年にはハノイ水利大学とインターンシップ生の受入協定も締結するなど、教育機関との連携も図っている。
 17年に設立したフォーシンクグローバル協同組合は、「職人が高齢化し工事の対応が難しい」「資材高騰で採算が合わない」「育成する余力がない」−など、協力会社からの声に危機感を持ったのがきっかけ。森氏は「自社だけうまくいっても地域は元気にならない」と一念発起して組合を立ち上げ、資材の共同購入や教育情報の提供、監理団体の許可取得(19年)、特定技能支援機関の登録(23年)などを進めた。
 当初4社でスタートした組合は現在、16社が加盟。森建設に5年勤務したベトナム人社員が所長を務める同社の現地法人と連携し、技能実習生や特定技能外国人の受け入れ、帰国後の継続雇用やフォローアップも行っている。
 これまでの受け入れ実績(25年4月現在)は55人、定着率も95%に上る。「組合を通じて協力会社の人手不足解消や共同購入によるコスト削減が可能になり、お互いにWin−Winの関係が生まれた」と森氏。「帰国後の受け皿も含めた柔軟な雇用が人材還流≠ノつながっている」のも大きなポイントだ。
 業界共通の経営課題を「海外事業」と「組合設立」という二つの柱で克服し、協力会社との関係も深化させている同社。まさにグローカル≠ネ外国人材の育成と活用のモデル的な取り組みといえる。
(地方建設専門紙の会・鹿児島建設新聞)