国土交通省は、舗装を修繕する時期を明確化するため、舗装の構造に関する技術基準を見直す。耐水性能や自動車の走行安定性能に対応し、舗装を修繕するか判断できる基準値を定める。8月26日に開催した社会資本整備審議会の道路技術小委員会で、技術基準の改定方針を示した。
改訂方針では、修繕時期の判断に関する基準の他、ライフサイクル全体でCO2排出量を削減するための低炭素な材料や工法の積極的な検討などを盛り込んだ。
現行の技術基準では、舗装に求められる性能として疲労破壊輪数や塑性変形輪数などが定められているものの、修繕を実施すべき「性能の限界状態」の定義はない。また、現行基準で定める性能は、舗装点検要領で修繕が必要となる判定区分Vの基準とも合致していない。
そこで、修繕を実施する判断指標として、耐水・防水性能、横断・縦断方向移動時の走行安定性能を活用。これらに限界状態となる値を設定する。この基準値を、ひび割れ率40%以下、わだち掘れ量40_以下など判定区分Vとなる指標と整合させる。
脱炭素化の推進では、ライフサイクル全体で排出されるCO2排出量を評価する枠組みを技術基準で示すとともに、アスファルト混合物の中温化技術などの低炭素な材料・工法を積極的に検討するよう促す。2024年8月にまとまった「道路におけるカーボンニュートラル推進戦略(骨子)」でも、道路計画・建設・管理の低炭素化は基本方針に位置付けられていた。
再生材料の適切なリサイクルを推進するため、アスファルト・コンクリート塊などの建設副産物について、積極的に再資源化することを原則として技術基準に規定する。設計時に建設副産物の使用を検討することも定める。
現状では、アスファルト塊は99・5%が再資源化されているものの、このうち23%は再生砕石となっているという。国交省は、より付加価値が高い再生アスファルト合材へのリサイクルを求めている。
26日の道路技術小委員会では、道路照明施設の設置基準に関する改定案も提示した。
道路の脱炭素化を推進するためには、消費電力を削減できるLEDへの転換が求められる。このため、技術基準の「道路照明の目的」に環境負荷の低減への配慮を盛り込む他、LEDを光源・制御装置の標準とするよう改定する。
提供:建通新聞社