建設業許可と経営事項審査の電子申請システムに福岡県が対応し、きょう9月1日から全都道府県の関係事務で電子申請の受け付けが可能となる。一部の地方自治体(許可行政庁)では紙書類ではなく電子申請を原則としており、制度を所管する国土交通省は、電子申請システムの積極的な活用を申請者に促していく。
電子申請システムは「JCIP」と呼ばれ、コロナ禍を受けた行政手続きの非対面化・デジタル化の社会的要請もあり、2023年1月に運用を開始した。建設業許可の関係では新規許可や変更、登録免許税・手数料納付といった手続きが、経営事項審査の関係では審査申請再審査申請、手数料納付といった手続きが対象となる。
電子申請システムを活用すると申請や書類作成、提出までをオンラインで完結させることができ、窓口への訪問や郵送といった手間を省くことができる。外部データを取り込んで書類作成時間を削減できるほか、エラーチェックや自動計算などの手戻り防止の機能も備えている。
関係機関との連携により、提出が不要となる書類は、▽登記事項証明書▽技術検定合格証明書▽監理技術者資格者証▽監理技術者講習修了証▽建設業経理士検定試験合格証明書▽建設業経理士CPD講習修了書▽経営状況分析結果通知書―。納税情報の提出も簡素化される。
24年度末時点の電子申請システムの利用率を見ると、建設業許可手続き全体に占める割合は2・9%、経審の手続きは7・8%となっている。いずれも、サービス開始当初からは2倍程度に増えているものの、システムの利用率は1桁台にとどまる。
ただし、都道府県単位で見ると許可関係の手続きで約4割、経審関係の手続きで約6割となっている都道府県もある。電子申請の活用を促している許可行政庁もあり、たとえば長崎県は24年度から電子申請システムの利用を原則化し、やむを得ない場合にのみ紙書類による手続きを行うこととしている。
また、関東地方整備局も経審について、今年1月から書面申請よりも電子申請を優先し、1〜3週間程度で結果通知書を発行する方針を示した。
9月から新たに電子申請システムに対応する福岡県も、電子申請での手続きを推奨する。国交省は、許可や経審の手続きを代行することの多い行政書士との意見交換の場などを通じ、電子申請システムの活用を改めて呼び掛ける。
提供:建通新聞社