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2025/09/02

建設トップランナーフォーラムC高知丸高(高知市)「独自開発の工法で海外に積極展開」

 台風や豪雨による自然災害が多い高知県。今年創立60年を迎えた高知丸高は「基礎工事のパイオニア」を掲げ、独自で開発した工法や製品を使い、高知県だけでなく国内外で災害復興に努めてきた。
 特に売り上げの半数を占めるのが、鋼管桟橋SqCピア工法だ。通常、橋は下部から立ち上げるが、この工法では先に上部を伸ばし、後で橋脚を取り付ける。橋を架けるのが困難とされてきた場所でも架設させ、工期の短縮も実現した。
 この技術を海外にも展開しようと、東南アジアを中心に営業を重ねた。初めて受注したのは2014年で、この時はODA(政府開発援助)の採択を受けたミャンマーの浄水場での基礎工事だった。ウガンダでもODAによる東アフリカ初の斜張橋建設に携わった。SqCピア工法では、パキスタンでの山岳地帯での架設を受注、非常に厳しい施工条件の中、約3年をかけ無事に完成させた。
 国際協力機構(JICA)の案件にも採択され、フィリピンでの河川浚渫工事にも取り組んだ。この時に活躍したのが自社開発の水陸両用泥上車だ。陸上だけでなく水上や軟弱地盤でも自走することができる。東日本大震災の直後も現地で復興に携わった。高野一郎代表取締役社長は「フィリピンの現場では、当社の作業員が現地の人に指導していた」と技術の普及に努めていたという。
 こうした取り組みが評価され、21年度にはJAPANコンストラクション国際賞の中堅・中小建設企業部門を受賞した。
 高知丸高は、従業員130人のうち、海外から38人を採用している。受け入れるだけでなく、高知のコンサル会社と共同でミャンマーに学校を建設し、現地の子どもたちに勉強を教える場を作った。
 さらに、22年には外国人技能実習生向けの技能講習用施設「高知建機技能センター」を設けた。ベトナム語、ミャンマー語、インドネシア語、中国語、英語での講習が可能であり「当社の外国人材が教えるので、専門用語の理解も高く、約96%の合格率を達成している」と高野社長は手ごたえを感じている。特別教育や安全衛生教育も一緒に勉強し、事故が起きないよう万全の体制を期す。
 技能実習生を増員したことに伴い、新しい宿舎の建設が進む。全室冷暖房完備の個室で、各国の文化や習慣に配慮したキッチンやシャワー、トイレなどの設備が充実しているという。
 24年度には国土交通省などが主催する「外国人材とつくる建設未来賞」で「外国人材育成賞」と「事業展開賞」をダブル受賞した。高野社長は「これを励みに多文化共生社会を作っていきたい」と意欲を見せる。高知のニッチな企業が展開するグローバルへの取り組みはこれからも続く。
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)