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2025/09/09

市区町村の24% 契約変更協議応じない

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)のアンケート調査によると、契約後に労務費・資材価格が上昇しても、市区町村の発注工事で円滑に変更協議が行われていない、と回答した会員企業が全体の24・4%いた。民間工事では34・1%とさらにその割合が高い。一方、改正建設業法で昨年12月に施行された「おそれ情報」を見積書提出時に通知していると答えた企業は、全体の73・8%と高い割合を示した。
 昨年6月に成立した改正建設業法では、資材価格高騰時の請負代金の変更方法を契約書の法定記載事項に追加。受注者には、資材価格高騰のリスクをおそれ情報として注文者に通知することを求め、通知を受けた注文者に対し、契約変更協議に誠実に応じる努力義務を課している。
 全建の会員企業1891社が回答したアンケート調査では、直近1年間(2024年6月1日〜25年5月31日)で、労務費・資材価格の上昇分の変更協議への対応を発注者別に聞いた。スライド条項を活用する公共工事では、契約変更を申請しても協議が「行われていない」との回答は、国土交通省が3・8%と最も少ない。
 一方、市区町村が変更協議に応じないとの回答は24・4%と公共工事の中では最多。スライド条項のない民間工事の発注者になると、34・1%とさらにその割合が高くなっている。
 さらに、変更協議が行われなかったり、受注者が変更協議を申し出ていない工事で、結果として原価を下回った工事が3割以上あったとの回答は、市区町村の発注工事で17・8%、民間発注工事で17・0%あった。
 発注者・受注者間の建設業法令遵守ガイドラインでは、発注者が自己の取引上の地位を不当に利用し、一方的に協議に応じかった結果、原価割れなどの事態が生じた場合、建設業法第19条の3の「「不当に低い請負代金の禁止」に抵触するとしている。
 この他、直近1年間の工事でスライド条項の適用を申請し、適用されたとの回答は全体の27・1%。発注者別では、国交省が51・0%と最も高く、都道府県・政令市の36・4%、市区町村の21・2%が続いた。
 アンケート調査では、スライド条項の適用申請について「予算の関係で最終的に承認されないケースがある」「スライド条項自体のハードルが高く、契約変更に至らない」「提出書類の簡素化を進めてほしい」といった指摘が上がっている。

提供:建通新聞社