トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2025/09/11

民間工事の電子契約利用4割 導入理由に「発注者指示」

 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)のアンケート調査によると、民間発注者との取引に電子契約を利用していると回答した会員企業は、全体の43・3%(利用予定含む)あった。「取引先からの指示・要請」や「印紙税の節約」を導入の理由に挙げる会員企業が多い。一方、利用していない理由としては「発注者が求めていない」「少額工事のため」などが挙がっている。
 電子契約を導入していない理由としては、「取引先からの要請がない(取引先の体制整備不足を含む)」と回答した企業が53・8%と最多で、「導入に見合う仕事量がない」の38・2%、「導入や維持するためのコストがかかる」の24・7%が続く。
 導入コストを未導入の理由に挙げる企業はあるものの、電子契約のメリットの一つはコスト削減にある。書面契約で求められる印紙税が不要になるだけでなく、契約手続きのために社員が移動する必要もなくなる。移動距離が長くなる地方では、このメリットが大きいとされている。
 ただ、発注者からの要請がなければ、受注者である建設業は電子契約を利用できない。民間発注者が書面契約を選択し続けると、建設業もコストや事務負担の軽減といった電子契約のメリットを受けることはできない。
 全建のアンケート調査では、元請け・下請け間での電子契約の利用状況も聞いている。この調査に対し、電子契約を一部でも利用していると回答した企業は17・3%にとどまる。契約の上流である発注者が電子契約を利用していないため、下請け契約への電子契約の利用も進んでいない。
 一方、公共工事の受発注者間では、コロナ禍を境に地方自治体での電子契約の利用が広がっている。2021年1月に地方自治法施行規則が改正され、自治体がクラウド型の電子契約サービスを利用できるようになったためだ。
 品確法改正を受け、昨年12月に閣議決定した同法の基本方針では、公共工事の発注関係事務に電子契約を導入し、受発注者の事務を効率化するよう求めている。国土交通省も、電子契約に関するガイドラインを改正し、「立会人型」と呼ばれるクラウド型の電子契約サービスを建設工事の請負契約に利用できることを明確にする。こうした動きが後押しし、建設業に電子契約が急速に普及することも考えられる。

提供:建通新聞社