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2025/09/16

酷暑の現場作業に懸念 「夏季の閉所」求める声も

 9月11日に開かれた中野洋昌国土交通相と建設業4団体の意見交換では、夏の酷暑が現場作業に及ぼす影響を懸念する声が団体側から相次いだ。作業員の熱中症に加え、作業効率の低下を指摘する意見もあった。全国建設業協会(全建)の今井雅則会長は、夏期の作業を減らすには、現行でも認められている変形労働時間制だけでは「まかないきれない」と指摘。気温が上昇する夏季には閉所し、気候が低下する時期に労働日数を増やすなど、より柔軟な働き方を認める必要性を指摘した。
 気象庁によると、今年6〜8月の平均気温は平年より2・36度高く、統計開始以来最も暑い夏となった。
 日本建設業連合会の宮本洋一会長は「近年の猛暑で熱中症の多発など、健康被害ととともに生産性も大幅に低下している」との懸念を示した。その上で、早朝に出勤して午前中で作業を終えるような働き方を提案した。
 全建の今村雅則会長は、昨年の7〜8月の稼働日のうち、半数程度は作業不能日だったと指摘。適切に健康管理しなくては、建設業の担い手不足に拍車がかかるとの懸念を示した。
 全国中小建設業協会の河ア茂会長は、地域建設業が受注する自治体工事について、生活道路やその地下の上下水道管の工事が中心と説明。作業時間の制約が厳しいため、柔軟化による酷暑対応が難しいとした。その上で、過酷な環境での作業に対し、労務単価・経費の引き上げを求めた。
 建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長は「現場で働く職人たちの命をどのように守っていくのか」と訴えた。夏季に現場を閉所して「建設業界の夏休み」とするなど、他産業にない試みを担い手確保につなげるよう求めた。
 国交省は、夏季に現場作業を休工する関東地方整備局管内の試行工事や、猛暑日に作業時間帯を変更する沖縄総合事務局の事例を紹介し、多様な働き方を支援するとした。

提供:建通新聞社