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2025/09/18

全国72`で緊急対策必要 下水管の老朽化

 国土交通省は、下水道管路の特別重点調査で、特に腐食しやすく調査の優先実施箇所とされた約813`のうち、8月までに約72`が原則1年以内の対策が必要な「緊急度T」と判定されたことを明らかにした。国交省の有識者委員会で委員長を務める家田仁政策研究大学院大学特別教授は調査対象の約1割が緊急度Tとなった結果を受け、「想定以上に深刻だ」と危機感をあらわにした。
 全国特別重点調査は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて全国128団体で実施している。対象は大口径で整備から30年以上が経過した管路で、合計延長約5000`を1年以内に調査する。このうち八潮市の陥没現場と条件が類似した箇所など約813`を「優先実施箇所」に設定。潜行目視やカメラを用いた目視調査を全区間で行い、8月までの調査結果をまとめた。
 これまでに緊急度判定を終えた優先実施箇所は約621`。緊急度Tは約72`、5年以内に対策の必要な緊急度Uの延長は約225`となった。
 要対策となった区間で路面や管路内からの空洞調査や簡易な貫入試験なども実施したところ、6カ所で空洞が見つかった。既に4カ所は対策済みで、残る2カ所も陥没の可能性は小さいものの早期に対策を講じる予定だ。
 今後は緊急度判定を終えていない約109`の判定や、調査が未完了の約83`の調査を急ぐ。作業員の安全確保にも最大限留意する。要対策とされた管路については、道路管理者とも連携して速やかな対策の実施を施設管理者に要請。必要に応じて技術・財政面での支援策を講じていく。
 家田氏は、緊急度Tと判定された管路の間にも管路の腐食の深刻さに差があるとし、実態を踏まえて対策の優先度を判断する必要性を指摘した。

提供:建通新聞社