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2025/09/18

八潮踏まえた下水管路点検 「高頻度化」「高度化」求める

 国土交通省は、埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえた下水道管路のマネジメント手法として、条件が厳しい箇所での点検・調査の「高頻度化」と、事故発生時の社会的影響が大きい箇所での複数の調査手法を組み合わせた「高度化」を打ち出した。さらに、目視調査以外の大深度空洞調査や管路強度の定量調査といった技術の開発・現場実装に取り組むとした。
 9月17日に開催した有識者委員会で、第3次提言の骨子案として提示した。下水道管路に加えて、インフラ全般のマネジメントの方向性も示した。
 下水道管路については、点検・調査の重点化と管路網の戦略的再構築、メンテナンス技術の高度化・重点化の三つを実施すべき方策として位置付けた。埼玉県行田市で管路の点検中に発生した作業員死亡事故を受けて、作業安全の確保の徹底を前提条件として改めて明記した。
 このうち点検・調査の重点化では、八潮市の事故を受けて全国で進めている下水道の調査結果を踏まえ、地盤が緩いなどの「弱点要素」がある箇所で点検・調査の頻度を増やすべきとした。
 事故発生時の社会的影響が大きい箇所については、打音調査や空洞調査だけでは精度が不十分な恐れもあることを念頭に、複数の調査手法を組み合わせてフェールセーフ(リスクを想定して未然に防ぐ考え方)の観点から高度化するとした。
 管路網の戦略的再構築では、インフラの劣化状況を施設の管理者や担い手だけでなく市民にも可視化することで、管路メンテナンスに当事者意識を持ってもらうことが必要だとした。
 メンテナンス技術の高度化に向け、精度が高い点検・調査を可能とする技術の開発を求める。硫化水素などのガスの発生により下水道内の点検・調査が過酷であることを踏まえ、できるだけ人が管路に入らずに済む無人化手法の推進も求めた。新たに開発した技術については、5年程度で実用化を目指す。
 インフラ全般のマネジメントの方向性は、前回の委員会で基本的な考えとして示した▽インフラの管理状況や老朽化状況の徹底的な見える化▽マネジメントのメリハリ▽建設業の処遇改善・担い手確保▽市民の理解と社会的な参画を促すモーメンタム(政治的・社会的な勢い)−の4項目を肉付けし、骨子案とした。
 特に、建設業の処遇改善・担い手確保については、暮らしを支える「エッセンシャルジョブ」として建設業に光が当たるよう、表彰制度や処遇改善などの総合的な対策が必要とした。インフラの担い手として社会的意義を認められ、働きがいを持てるようにする。

提供:建通新聞社