国土交通省は、下水道管路の点検・調査に役立つ新技術を地方自治体が発注する業務に導入するため、10月に新たな会議の場を設けて議論を開始する考えだ。会議では、下水道管路の点検・調査に関して自治体が抱える課題を整理した上で、この課題に応じた新技術の条件をまとめ、開発につなげる。自治体が業務を発注する際に必要な技術指針や積算基準も作成し、現場実装の円滑化も図る。
10月には、自治体や関連団体で構成する「下水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化推進会議(仮称)」を立ち上げる。構成員は、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて実施している全国特別重点調査で、調査対象となる管路の延長が長かった自治体や、上下水道の技術開発やコンサルタントなどの関連団体を想定している。
これまでに国交省は、上下水道一体革新的技術実証事業(AB−Cross)で民間事業者による技術開発を支援するとともに、上下水道DX技術カタログによって自治体へ新技術の周知を進めてきた。ただ、自治体がこれらの新技術を現場に導入していくための施策が手薄だったとしている。
この推進会議では、自治体が新技術を現場導入する際の課題や、特別重点調査を実施する中で感じた技術的な問題を整理し、自治体が求める新技術の条件を探る。その上で、実際に点検・調査業務を発注する際に必要となる、技術指針や標準歩掛、標準発注仕様書を整える。こうした発注に必要な文書類の整備に向けたロードマップも作成する。
八潮市での事故発生を受けた有識者会議では、▽管路内調査の無人化・省人化▽大深度空洞調査▽大口径管の官圧・強度測定▽大口径管・施工難所の改築―の四つを、現場導入すべき技術として提言している。今回、設置する推進会議では、これら四つの技術を5年間程度で実用化させることを目指す。また、自治体のニーズを探りながら、これらの技術以外の導入も検討する。
提供:建通新聞社