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中央ニュース

2025/09/24

上下水道事業の在り方 地域ごとでの維持管理を検討

 国土交通省は、人口密度が低い地域の上下水道事業の在り方について、従来の広域的な施設の維持管理から地域ごとでの維持管理への転換を検討している。今後の人口減少を見据え、事業の効率化を図るためだ。上水道事業は小型の浄水処理装置などを活用する分散型システムへの転換、下水道事業は浄化槽を活用した個別処理への転換を想定している。2024年11月に立ち上げた有識者会議で具体策を検討している。
 上水道事業の給水方法は、大規模な浄水場と配水管を活用して給水する「集約型システム」と、地域の水源と浄水処理装置などを活用して地域ごとに給水する「分散型システム」に分けられる。集約型は都市部、分散型システムは中山間地で、主に採用されている。分散型には、浄水場から車両などを使って各地域に浄水を運搬する方法もある。
 集約型は、給水量や水質が安定する一方で、地区によっては管路延長が長く、給水人口に対する更新費が高くなる傾向がある。分散型は、長い管路網整備が不要なため、人口密度が低い中山間地で効果的な反面、水質検査などの日常的な管理が必要なるため、住民が安定的な給水を不安視する懸念もある。
 今後の人口減少を踏まえ、郊外の給水人口が少ない自治体では、集約型から分散型に転換することが効率的な維持管理につながる可能性がある。
 また、地元住民の組合が管理している給水人口100人以下の「小規模未規制水道」では、管理者の高齢化が進み、施設維持管理の負担が増加しているため、地方自治体が運営する水道事業への統合も考えるべきとした。一方で、統合した場合、自治体の財政や人員面での負担が増加することが課題となる。
 下水道事業も水道事業と同様に、人口分布や需給の変化に応じた汚水処理方法の転換を必要とした。整備効率を考えた上で、公共下水道や農業集落排水などの汚水を処理場に集めて処理する「集合処理」から、各家庭が浄化槽を活用して処理する「個別処理」に切り替えることを想定している。
 この実施に向けて、個別処理に転換すべき区域の選定方法や、下水道処理区域を縮小するための制度や事務手続きを明確化する必要があるとした。

提供:建通新聞社