トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2025/09/24

猛暑の工事影響を把握 夏季休工、時間変更も

 国土交通省は、今夏が統計開始以来で最も暑くなったことを受け、直轄工事での現場への影響を把握する。既に宇都宮国道事務所は現場作業を夏季に休工することを認める工事を試行導入しており、こうした発注方式の水平展開も視野に対応を検討する。
 気象庁によると、今年6〜8月の平均気温は平年より2・36度高く、統計開始以来で最も暑い夏となった。9月11日に開かれた中野洋昌国交相と主要な建設業4団体との意見交換でも、団体側からは夏の酷暑が現場作業に及ぼす影響を懸念する声が相次いだ。
 現行でも、中央建設業審議会が作成・勧告する工期に関する基準は、暑さ指数(WBGT値)が31以上の猛暑日を不稼働日として考慮するよう規定。国交省の直轄工事では、作業不能日に算入して工期を設定することとしている。
 例年にない猛暑を受けて団体側からは、熱中症による作業員の健康被害を懸念する声とともに、生産性の大幅な低下を指摘する声も出ている。作業時間の見直しだけでなく、労務単価や経費の引き上げを求める意見も寄せられた。
 こうした声を踏まえ、国交省はまず、直轄工事の実態把握を急ぐ。工期や歩掛りへの猛暑の影響についても把握したい考えだ。ただ、工期の延長は、工期末に検討する例が多く、影響の程度がはっきりするまでは時間を要しそうだ。
 先行的に猛暑対策を講じる事務所も出てきている。関東地方整備局管内の宇都宮国道事務所は、7月から猛暑を避けた働き方改革に着手。工事を発注する際、特記仕様書に原則として「猛暑期間(7〜8月)の現場施工を回避することについて、監督職員と協議を行うことができる」と記載することとした。7月時点で特記仕様書に記載した16工事のうち6件で猛暑期間を回避する取り組みを取り入れたという。現場作業を伴う工事は7〜8月の前後に行い、夏季は休工または準備期間とするイメージだ。
 国交省によると、特記仕様書に記載がなくとも夏季を休工にしたり、準備期間に充てるような提案を受注者から発注者にすることは可能だ。
 また、内閣府の沖縄総合事務局は猛暑日対策として、受発注者間での確認・調整の上で、猛暑日での作業時間を変更している。閉鎖空間での作業を対象に昼休憩を1時間延長したり、溶接作業のように過酷な作業環境では作業時間帯を繰り上げ、午前6時から午後3時にかけて施工するような取り組みを行っている。

提供:建通新聞社