2025/09/24
建設トップランナーフォーラムF田村組(愛知県)「外国人材との協働で地域の問題解決」
田村組(愛知県新城市、田村太一社長)の社員数は32人で、そのうち5人が外国人材。内訳は林業部門のスリランカ人1人、土木部門にバングラデシュ人1人、飲食部門にブラジル人3人だ。
4年前に初めてスリランカ人を採用した際は問題が山積みだった。林業従事者を育成するための制度「緑の雇用」を活用しようとしたところ、言語の問題で懸念を示され、2年間申請を見送ることになった。そこで、林業関係者が集まるあいち伐木競技会に参加し、実際に交流することで、日本語能力や林業技術を認めてもらうことができた。現在は、緑の雇用2年生として活躍している。
交流機会の重要性を実感したことから、日常的に交流ができる拠点を作るためにブラジル人とカフェを始めた。ブラジルの理由は、新城市に住む外国人の中で最も多いのがブラジル人だったことや、隣接する市にはブラジル人が多く住んでおり、日本一のブラジル人集住地域と呼ぶことができる立地にあったためだ。
開業から1年経った現在、カフェの客層は7割が日本人で、交流の場を作るという目標は達成しているといえるだろう。他にも、地域の学校から校外学習の場として活用されることもあるという。
もう一つの事業としてキャッサバの栽培に取り組んでいる。簡単に育てることができるため、遊休農地の解消にも役立てる。兼業農家や学生などにもキャッサバの栽培に取り組んでもらい、その講師をブラジル人にしてもらうことで交流を図った。
今後も、キャッサバを中心に市内各地で事業展開をしていく予定。農業団体を作り、地元農家の遊休農地も借りて、栽培面積を拡大した。学校給食や介護食にすることや、収穫した後の茎をバイオマス燃料に、葉の部分を飼料にすることなども考えている。他にも、市内にある400人以上のブラジル人従業員を抱える企業から、日本食に馴染めない従業員向けに弁当作りを依頼されるなど、多方面で問題解決に取り組んでいる。
「今後、新城市のような中山間地域では日本人人口が減り続けることが予想されている。外国人材が増えると地域の問題も増える。地域・企業・行政が連携し、受け入れ体制を構築することが必要だ」と話す田村社長。新城市国際交流協会は「交流から共生へ、そして協働へ」というスローガンを掲げている。まずは、田村組が率先して挑戦し、外国人材協働モデルを目指していく。
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)