国土交通省は、災害発生時の下水道機能維持のために地方自治体が定める「下水道BCP」の策定マニュアルを年内に改訂する。現行の策定マニュアルに不足している受援に関する記述を充実させることで、下水道機能の早期復旧につなげる。改訂に向けた有識者検討委員会で、改訂の方向性として示した。
マニュアルの改訂により、能登半島地震のような被災規模の想定を超える地震に、自治体が備えられるようにする。このため、能登半島地震で被災した石川県や県内市町(珠洲市、能登町、輪島市、穴水町、七尾市、かほく市)にヒアリングし、発災時の対応状況と課題を整理した。
ヒアリングでは、想定を超える規模の災害だったため、職員の確保が困難となったことや、支援を受けるための事項が整っていないなどの理由で受授体制の構築が遅れ、既存のBCP計画に定めたスケジュールとの乖離(かいり)が生じたことが分かった。
具体的には、11日程度で受援体制の構築や応急復旧調査に着手する「暫定機能確保段階」となる予定だったが、七尾市とかほく市ではこの段階となるまでに約13日、それ以外の4市町では約24日が掛かっていた。
そこで、改訂後のマニュアルには、自治体が事前に検討や把握すべき事項を整理し、受援に関する記述を充実させる。受援体制の構築までの段取りや、支援団体に提供すべき情報、提供可能な下水道台帳データの準備などを追加する。
有識者検討委員会では今後、能登半島地震発生時の支援自治体にもヒアリングして追加すべき事項を検討し、年内にマニュアルを改訂する予定。
提供:建通新聞社