2025/09/30
建設トップランナーフォーラムGトップランナーの技術力「地元に還元できる環境を」
国土学総合研究所の大石久和所長=写真=は、第19回建設トップランナーフォーラムの最後に、「多くの苦労を積み重ねながら地域の建設業として生き残り、さらには海外で技術交流を図りつつ、技術力の向上を図る努力に心を打たれた」と当日の発表を評価した。その上で、「みなさんが培った技術を地域に還元できる環境を整えなくてはならない」と訴えた。
大石氏は「建設業、農業、林業は、地元あってこその産業」と前置きし、「例えば高知の建設業であれば、『高知が元気になってほしい』『高知の人が働ける機会がほしい』『高知の人の賃金が上がってほしい』と考えているはずだ」とした。
その一方、「この30年間、地域のインフラがどのように扱われてきたのか考えなくてはならない」と問題提起。
「日本インフラ投資は1995年を100とした場合、2022年に60まで下がっているが、米国は同じ期間に240へと投資を伸ばしている」と説明。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表している世界競争力ランキングを例に挙げ、「2024年に日本の国際競争力は世界38位まで転落した。韓国の国際競争力は世界20位で、日本は追い抜かれてしまっている」と続けた。
「韓国では、1時間に自動車で移動できる距離が平均77`だが、日本は62`にすぎない」と、日本の国際競争力が低下した原因の一つにインフラ整備の遅れがあると主張。「2024年問題でドライバーが不足しており、物流だけで見ても、国際競争力がさらに低下しつつある」と危機感を示した。
その上で、「トップランナーが海外で苦労している努力も、いずれは地元に還元されるべきもの。この国の政治は、トップランナーが培ってきた技術力を生かせる環境を整えるべきだ」と会場に呼び掛けた。
第19回建設トップランナーフォーラムの実行委員長を務めた中和コンストラクション(奈良県)の大浦晃平社長は「本日の発表で得られた気付きを実践につなげたり、行動に移したりすることが、フォーラムの成果になる」と締めくくった。
(地方建設専門紙の会・建通新聞社)
※役職は6月20日時点