建設経済研究所と経済調査会は、2026年度の建設投資を名目値べースで前年度比5・3%増の80兆7300億円、15年度を基準とした実質値ベースで3・2%増の60兆0432億円とする予測をまとめた。第1次国土強靱化実施中期計画に基づく対策で政府分野投資の大幅な拡大が見込まれる。加えて、米国の関税が影響しつつも民間非住宅の設備投資は全体として堅調だとし、増加を見込んだ。
26年度の民間非住宅建設投資は、名目値で5・5%増の21兆5300億円、実質値で3・4%増の15兆9602億円とした。いずれも、前回(7月)の推計より上振れしている。着工床面積は1・5%減の3495万平方bを見込む。米国関税の影響もあって工場が6・3%減少し、全体でも減少を見込んだ。ただ、それでも企業の設備投資は好調な収益や省力化投資への対応を背景に堅調で、オフィスや倉庫、土木での増加を背景に建設投資は増加の見通しとなった。
26年度の民間住宅投資については、名目値で4・6%増の17兆0700億円、実質値で3・0%増の12兆8858億円と予測した。省エネ基準適合義務化に伴う24年度の駆け込み需要からの反動減で、25年度は着工床面積が10・3%落ち込むと予測した一方、26年度は4・9%増と回復を想定。ZEHなどより高水準な省エネ性能の確保による高付加価値化や、住宅の大型化といった傾向を受け、投資額も増加する見通しとなった。
26年度の政府分野投資は、名目値で9・3%増の25兆8100億円、実質値で7・3%増の19兆2114億円になるとした。国の直轄・補助事業と、地方自治体の単独事業による維持補修費、投資的経費が前年度並みに確保されることに加え、6月に決定した第1次国土強靱化実施中期計画に基づき、26年度からの5カ年で大幅に予算が増加すると想定。近年の資機材・労務費価格上昇もあって、実質値では政府分野投資の前年度比伸び率は21〜24年度までマイナスとなっていたが、26年度は大幅なプラスを見込んでいる。
26年度の建築補修は名目値ベースで0・1%減の16兆3200億円、実質値ベースで2・6%減の11兆9857億円とした。近年の猛暑に対する学校施設の空調整備もあって、政府建築では引き続き堅調な投資を想定している。
提供:建通新聞社