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2025/10/22

建設業の災害復旧活動、人員、資機材確保に不安

 国土交通省が全国の建設企業を対象に、災害復旧活動の取り組み状況について調査したところ、活動の課題として「人員の確保」を挙げた割合が88・8%に上ったことが分かった。次いで多かった回答は「資機材の確保」で、56・1%となった。労務費や資機材価格の高騰が進む中、建設企業が突発的な災害に備えた体制を維持できる環境整備が求められる。
 国交省は6月、災害協定を締結している建設企業・団体を「TEC−FORCEパートナー」として改めて位置付ける方針を表明。従来の協定は、締結先の地方整備局管内で発生する災害を念頭に置いていたが、応援範囲に地整の管外を含めるなど、より広域的な自治体の支援体制を構築する。災害復旧を担う建設企業・団体の役割は今後、ますます重くなる。
 今回の調査では、災害復旧体制を整える上で、人員・資機材の確保が建設企業にとって課題となっている実態が明らかになった。2024年度に別途、地域建設業を対象に行った調査でも、資材の調達・管理コストが負担になっているとの声が多く寄せられていた。
 この他の課題で多かった回答は、「安全管理」が43・2%、「行政機関との連携」が43・1%、「情報収集・伝達体制」が40・3%、「資金の確保」が26・2%となった。
 通常と異なり不安全な作業環境や、短工期での対応の多い応急復旧工事で安全管理が不十分になることへの懸念は大きい。能登半島地震の応急復旧・復興工事でも、死亡災害を含めた労災が発生している。現場の安全確保対策や、被災状況の把握について、インフラ管理者側との一層の連携が求められる。
 行政機関や関係団体と災害協定を締結している建設企業の割合は73・8%だった。「締結していないが、災害復旧活動に参加したい」との回答も10・0%あり、全体として災害復旧活動への意欲は高かった。特に、受注は公共工事がほとんどという企業では、協定の締結割合は96・5%に達した。
 今後、参加が考えられる復旧活動については、「道路・橋梁等の応急復旧」が72・0%で最も多く、「河川・堤防等への応急復旧」が59・9%で続いた。「がれき撤去・清掃」は42・0%、「家屋等の応急修理」は22・8%をそれぞれ占めた。
 災害協定を締結しているか、していないが復旧活動に前向きな企業に、災害時の連携を予定している機関を聞くと、「地方自治体」が89・7%と大半を占めた。次いで、「消防・警察など」が11・9%、「地域のNPOやボランティア団体」が4・5%となった。

提供:建通新聞社