埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえた対策を検討している、国土交通省の有識者委員会は11月5日に会合を開いた。インフラ全体のメンテナンスについて、点検・調査を重点化・軽量化するなど、対策にメリハリを付けることなどを求める第3次提言案を提示した。
提言案では、▽点検・調査を適切に実施する新技術の導入や、インフラの老朽化状況や必要な費用などを市民に共有する「見える化」▽点検・調査の頻度や方法の最適化、対策の優先度の設定などの「メリハリ」▽現場でインフラを維持管理する担い手が、働きがいをもって活躍できるような待遇面の対策▽点検・調査から整備・修繕までを一体的に考える総合的なマネジメントの構築▽インフラの管理者と利用者が一体となって維持管理を実施するモーメンタム(政治的・社会的な勢い)の醸成―の五つの方向性を示した。
具体的には、点検・調査の精度や確度が向上する新技術の導入や、導入できる技術の標準的な指標の設定を求めた。対策の優先度に関しては、計画的な集約や再編も視野に、インフラの戦略的な再構築を進めるべきとした。
担い手の待遇改善については、ダムや下水道管路など過酷な環境下で作業を実施する担い手を確保するため、発注者が適切な歩掛を設定するなど、積算方法を検討することを求めた。
総合的なマネジメントでは、インフラの新築や改築を進める際に、設計段階から維持管理のしやすさやリダンダンシー(冗長性)を確保すべきとした。下水道管路などがある地下空間については、道路管理者と占用者が連携して路面下空洞調査を実施するなど、適切な維持管理を進めるべきとした。
提供:建通新聞社