トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2009/06/11

厚生労働省が病院の耐震化支援を本格化、補正予算の「医療施設耐震化臨時特例交付金」で1222億円を投入

 厚生労働省は、対策の遅れが指摘されている病院の耐震化事業に本格的に乗り出す。2009年度補正予算で創設された「医療施設耐震化臨時特例交付金」の約1222億円を投入し、災害拠点病院や救命救急センターを有する病院、二次医療救急医療機関が耐震化を目的として行う新築、増築、耐震補強工事を補助する。各都道府県ごとに交付金の受け皿となる基金を設置、09〜10年度末までの2年間にわたって耐震化を財政面から支援する。
 特例交付金は、民間医療機関だけでなく、公的医療機関や公立病院、国立病院機構や国立大学法人の未耐震(IS値0・6未満)の病院も対象とする。基準面積と基準単価も大幅に引き上げる。たとえば災害拠点病院や救命救急センターを建て替えて新築する場合の基準額は約23・8億円、二次医療救急医療機関は約14・2億円とする。
 ただ、都道府県が医療計画で病床過剰地域に指定している地域で病棟を建て替え新築する場合、事業者が整備を予定している病床数の10%以上を削減することが補助の条件。
 補助を希望する病院は、必要に応じて耐震診断調査などを実施。基本計画書や工事費の概算などの計画書を作成し、都道府県が設定する期日までに提出する必要がある。
 都道府県は7月中にそれぞれ都道府県内の医療機関の希望案件を取りまとめた上で、必要に応じて医療審議会を開催。8月末までに交付金申請を行う。交付金の受け皿となる基金を設置する条例を制定する必要もあるため、遅くても9月議会に条例制定の議案を上程する。
 厚労省は9月下旬をめどに都道府県に交付決定したい考え。補助を受ける病院は11年3月末までに詳細設計などを進めるとともに「基金事業計画」を作成し、都道府県から耐震化医療機関として承認される必要がある。このため、病院が都道府県に設置する基金から補助を受け、施設整備に着工できるのは早くても10年度半ばになる見通しだ。
用語
 ▽二次救急医療機関―都道府県が策定する医療計画で、入院を必要とする重症患者を受け入れることになっている病院群輪番制病院と共同利用型病院
 ▽地震防災対策強化地域―大規模地震対策特別措置法に基づいて、地震防災対策を強化する必要があると指定された地域
提供:建通新聞社