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2009/12/02

建設トップランナーフォーラムが提言 「建設業の農林業進出は中長期的な視点で」「『平成検地』で緊急雇用対策を」

 新事業に挑戦する建設業者とその支援者で組織する建設トップランナーフォーラムが1日、東京都内で緊急記者会見を開き、農林業に進出した地域の建設業の採算面での厳しい実情などを訴えた。さらに、公共事業が削減される中での緊急雇用対策として、全国的に遅れている土地の地籍調査を、危険個所など国土の現況調査と併せて集中的に行う「平成検地」を国に提案していく考えを明らかにした。
 農林業に進出した建設会社4社の社長と、同フォーラム顧問の米田雅子慶応大学教授が会見に臨んだ。
 会見ではまず、新政権が現在進めようとしている公共事業の急激な削減が地域の経済と雇用に与える深刻な影響を指摘。新政権が農林業への転業や転職を解決策に挙げていることに関して、建設業との複業化による雇用創出などに中長期的に時間をかけて取り組んでいく必要を訴えた。
 6年前に酪農に進出した飯古建設(島根県)の田仲寿夫社長は、新事業で雇用を維持する一方、本業の建設業の売り上げで経営のバランスをとっている現状を報告。地方における一定の公共事業の必要性を強調した。
 また、約18年間にわたってハーブ栽培に取り組んでいる舟山組(北海道)の舟山秀太郎社長は、「本業がタイトな状況での複業化には限界がある」と話し、急激な公共事業削減の中での経営転換の難しさを指摘した。
 稲作を行っている愛亀(愛媛県)の西山周社長は、約8年でようやく黒字化が見えてきた現状を報告。地域再生について「国策として建設業を有効活用する手立てが必要」と話した。
 また、昨年度から林業に参入した馬瀬建設(岐阜県)の森本繁司社長は、森林の境界確定など基盤整備や、新たな機械化の必要など課題を説明。国家戦略として林業が注目されている現状をチャンスとし、適正化に向け「積極的に問題点を訴えていきたい」と話した。
[年間1000億円で10万人の複業雇用]
 同フォーラムが国に提案する「平成検地」は、土地の所有者や境界を調べる地籍調査を、土地の危険個所などの現況調査や、土地のデジタル情報基盤整備などともに集中的に進めるもの。
 地籍調査は全国で約50%しか進んでおらず、震災復興などの障害になる。また、森林では約40%の状況で、林地の集約など事業の効率化を阻んでいる。
 米田教授は「測量のほか、危険個所の調査などを実施することで、土木技術者など幅広い雇用を創出する。将来の効率的な国土管理にも必要不可欠な事業」と話す。
 林地の地籍調査の進捗を55%に引き上げるなど、一定の事業効果を出すために必要な事業費を約5000億円と試算。5カ年計画とし、1人の技術者が年間3カ月従事する「複業」を前提とした場合、年間10万人の雇用を生むという。

提供:建通新聞社