国土交通省は不調・不落対策の一環として、前年度に導入した「大都市補正」の対象地域を広げることを決めた。加えて、大都市補正の対象のうち、現場の条件などによって作業効率が低下しやすい道路修繕工事や道路維持工事、電線共同溝工事については1日当たり作業量の補正も試行する。道路維持工事をモデルとして、こうした措置を講じた結果を試算すると、工事ごとにバラツキはあるものの、従来に比べ総価が1割程度上昇する見込み。4月1日以降に入札公告する案件から適用を始める。
大都市補正は、都市部での不調・不落が相次いでいる現状を重くみた国交省が09年度から導入している。共通仮設費に1・5、現場管理費に1・2の補正係数を乗じることによって、間接経費の積算を現場の実態に合わせる仕組みだ。09年度は東京23区・横浜市・川崎市・名古屋市・大阪市の市街地で実施する鋼橋架設・舗装・電線共同溝・道路維持工事を対象とした。
今回の見直しでは、実態調査の結果を踏まえ大都市補正の対象に札幌市・仙台市・さいたま市・・千葉市・市川市・船橋市・習志野市・浦安市・新潟市・京都市・堺市・神戸市・尼崎市・西宮市・芦屋市・広島市・北九州市・福岡市の18都市を追加。10年度以降も各都市での実態を調査・分析した上で、対象範囲の在り方を検討していく。
また、09年度までの実態調査によって都市部での工事は作業効率が低いことが明らかになったため、大都市補正対象工事のうち鋼橋架設を除いた道路修繕工事・電線共同溝工事・道路維持工事の特定歩掛かりについて、1日当たりの作業量を補正する試みを始める。補正係数は0・8に設定する。
さらに、道路修繕工事などで施工個所が点在する工事の新たな積算手法も試行する。具体的には「市町村をまたぎ施工個所が複数ある工事」について、これまで一括で算出してきた共通仮設費や現場管理費を工事個所ごとに算出することを可能とする。
これらの措置を10年度から適用するため、土木工事積算基準を31日付で改定した。これに合わせて▽機械土工(土砂)、土の敷均し締固め工、小規模土工、法面整形工、路盤工、アスファルト工の歩掛かり▽建設機械等損料▽土木工事共通仕様書(案)▽電気通信設備工事共通仕様書―なども見直した。
提供:建通新聞社