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2010/04/14

成長戦略の重点項目を提示 環境貢献に応じた容積率の緩和など 国交省の成長戦略会議

 国土交通省成長戦略会議(座長・長谷川閑史武田薬品工業社長)は13日の会合で、所管産業の競争力強化に向けた成長戦略の重点項目を固めた。住宅・都市分野では、大都市の成長に寄与する環境貢献の取り組みに応じた容積率の大幅な緩和や、まちの管理・リニューアルへの民間参加の支援が必要とした。国際展開・官民連携分野では、コンセッション方式の導入やPFI、PPPの改善など民間資金の活用を推進。航空分野では羽田・成田両空港の容量拡大や伊丹空港を活用した関西国際空港の再生に力を注ぎ、海洋分野では港湾の選択と集中により競争力を高める構え。5月にも最終報告をまとめ、その成果を2011年度予算の概算要求に反映させる。
 国交省の成長戦略は、人口減少や少子高齢化、莫大(ばくだい)な長期債務といった日本を取り巻く厳しい局面を打開する上で、国際競争力を向上させるための成長戦略が不可欠との観点から、前原誠司国交相が他省庁に先駆けて策定を打ち出した。こうした考え方を踏まえ、2009年10月に設置された成長戦略会議は@住宅・都市A国際展開・官民連携B観光C海洋D航空―の計5分野について、成長戦略の具体像を探ってきた。
 各分野の重点項目は次の通り。
【住宅・都市分野】
 大都市の空間を有効に活用するため、環境貢献への取り組みに応じた容積率の大幅な緩和や大街区化を推進する。また、都市再生特別措置法の拡充や大都市圏戦略の策定により、幅広い規制緩和や税制面・金融面の特例措置を講じる「国際競争特区」(仮称)を新たに設定することも提案した。地域活性化に向けては、戦略的な地域づくりを可能とする仕組みを創設するほか、まちの管理・リニューアルへの民間参加を促すための規制緩和と支援を進める。マンション再生に向けて、改修や建て替えの促進策も講じる。
【国際展開・官民連携】
 建設産業などの国際展開に当たっては、官民一体となったトップセールスを展開するとともに、国際的な発注・契約方式(PPP、CM、包括的民間委託など)の国内市場での活用や、インフラファンドによる投資支援などに取り組む。
 官民連携を進めるため、施設の所有権は残したまま民間事業者にインフラの事業権を与えるコンセッション方式を新たに導入するほか、公物管理制度の見直しにも乗り出す。また、空港・港湾・鉄道・道路・下水道をPPP、PFIの重点分野に設定し、自治体や企業から事業提案を募集した上で具体的なプロジェクトを実施する。
【航空】
 羽田・成田両空港の抜本的な容量拡大策を講じるとともに、羽田空港の「24時間国際拠点空港化」を推進。空整特会の見直しを通じ、地方空港路線の維持・存続などを目指す。関空を関西地域の拠点空港として再生するため、伊丹空港も活用しつつ、抜本的なバランスシート改善策を講じる。
【海洋】
 国際コンテナ戦略港湾と国際バルク戦略港湾を選定し、大型化が進むコンテナ船やバルク貨物輸送船舶に対応する。公設民営化を通じた港湾コストの縮減やIT化による荷主サービスの向上などを進めることで、産業の競争力を強化する。
【観光】
 訪日外国人3000万人を目指して、空港、駅、美術館、劇場などの施設内や、屋外の観光地で多言語表示が可能な携帯端末を活用した観光情報の提供を推進するとともに、観光産業にとどまらず、幅広い関係者が参画する「観光地域づくりプラットフォーム」の形成を促進する。また、創意工夫を生かした新しい観光を進めやすくするため、柔軟性のある規制緩和を進める。

提供:建通新聞社