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2010/04/19

20年までに新築住宅・建築物の省エネ基準適合を義務化 支援策として住宅エコポイント拡充を視野 国交省など

 国土交通省と経済産業省は、新築されるすべての住宅・建築物の省エネ基準適合を遅くとも2020年までに義務化する方針を固めた。その実現に向けて、有識者や実務者で構成する「省エネ基準の適合義務化に関する検討会」(仮称)を早ければ4月中にも設け、義務化の対象や時期、省エネ基準、支援策の在り方などを検討し、12月までに成果をまとめる。省エネ化を支援するため、住宅エコポイント制度の拡充も視野に入れている。前原誠司国土交通相が16日の会見でこうした考え方を示した。
 住宅・建築物の省エネ化に向けては、省エネ法で一定規模以上の住宅・建築物について省エネ措置の届け出を義務付け、その内容が著しく不十分な場合は指示・公表といった行政措置を課す仕組みを導入している。ただ、同法の対象とならない小規模住宅などの省エネ化は進んでおらず、現行の省エネ基準(99年基準)の適合率は、新築住宅で1割〜2割(推計値)にとどまっている。10年以上前に策定された省エネ基準は努力義務で罰則はない。
 住宅・建築物からのCO2排出量は全体の3分の1を占める。しかも一度建築されると長期にわたり使用される。こうした実態や特性を踏まえ国交省などは住宅・建築物の省エネ化を地球温暖化対策の柱として、抜本的な取り組みに乗り出すことにした。
 今後の方向性としては、新築住宅・建築物の省エネ基準適合率を新たな基準の下で100%にすることを見据え、義務化の前段階として適合率を50%以上にまで引き上げる取り組みを展開する。その実現に向けた当面の対策として、有識者や実務者で構成する「省エネ基準の適合義務化に関する検討会」(仮称)を共同で設置し、義務化の対象や時期、支援策などを検討。20年までの工程表も策定する考えだ。
 経済産業省の近藤洋介大臣政務官は義務化のタイミングについて「大規模なものを先行するなど段階的なプロセスを踏まなければならない。住宅と非住宅で義務化のタイミングが異なることもあり得る」との見通しを示した。また国交省の三日月大造大臣政務官は「(国交省が進めている)建築基準法見直しの議論とも関連する」と述べた。
 新たな省エネ基準の策定にも取り組む。外壁や窓などの断熱性に加え、冷暖房や給湯など建築設備の効率性、太陽光発電など自然エネルギーの活用など多様な省エネ化の取り組みを評価する方向に改める考えだ。伝統工法など断熱構造が困難な住宅で省エネ化の取り組みを評価する基準も整える。また、既存建物の省エネ性能を向上させるための共同プロジェクトを立ち上げ、3年程度をめどに成果を出す。
 さらに、省エネ化の支援策として、09年度補正予算で創設した住宅エコポイント制度の拡充も想定。具体的には、新築住宅に対するポイント発行額の増額や、高効率給湯機器の設置に対するポイントの付与などが議論の対象となりそうだ。

提供:建通新聞社