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2010/06/18

既存不適格建築物の増改築「面積制限の撤廃を」 国交省の建築基準法見直し検討会

 国土交通省の「建築基準法の見直しに関する検討会」(座長・深尾精一首都大学東京教授)は16日の会合で、既存不適格建築物の増改築に対する規制の在り方などをめぐり意見を交わした。既存不適格建築物の遡及(そきゅう)適用緩和措置が既存部分の2分の1以下の増改築時に制限されていることについて、委員の多くが「増築面積を2分の1以下と規定する合理的な根拠がない」などとして、こうした制限の撤廃を訴えた。また、建築設備士に建築設備設計・工事監理の業務権限を与えるよう求める声も相次いだ。
 7回目を迎えた今回の検討会では、これまでの議論の中で建築基準法が抱える課題として委員から指摘があった▽既存不適格建築物の増改築▽工事監理・中間検査・完了検査▽伝統的構法の取り扱い▽大臣認定制度▽建築設備士の法的な位置付け―などが主な検討テーマとなった。
 既存不適格建築物をめぐっては、2005年の法改正で既存部分の2分の1以下の増改築といった一定の要件を満たせば、既存部分を最新の基準に適用させなくてもよいとする措置が講じられた。ただ、設計関係委員からは「面積規制が依然として増改築の足かせになっている」といった指摘が寄せられた。
 主な委員の発言要旨は次の通り。
【日本建築士会連合会副会長・峰政克義委員】既存建築物の増改築に当たり、増改築部分を既存部分の延べ床面積2分の1以下とする規制を撤廃すべき。適法な増改築はむしろ既存建築物改善の一助となる。また、建築設備士に業務権限を付与するための法的整備も必要
【プランテック総合計画事務所所長・来海忠男委員】構造の安全性を確保する上で、増築面積を2分の1以下と規定する合理的根拠はなく、こうした規定はなくすべき。また、大臣認定制度は経済成長を妨げるシステムであり、合理性・機能性を備えた仕組みへの見直しが必要
【住宅生産団体連合会建築規制合理化委員会委員長・秋山一美委員】大臣認定取得に長い期間と過大な費用を要する大臣認定制度について、試験・評価を民間に開放するなど、抜本的に見直すべき
【建築設備技術者協会企画・広報委員長・牧村功委員】建築設備士に建築設備設計・工事監理の業務権限を付与し、建築士の下でその業務を行うことができる法的な整備が必要。その際には、電気と空調・衛生に専門分化している実態にふさわしい資格制度の構築を求める