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2010/11/15

住宅・建築物の省エネ対策を抜本強化へ「20年度までにすべての新築住宅・建築物で省エネ基準適合義務化を」 関係省庁推進会議が骨子案

 国土交通・経済産業・環境の3省が設けた「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」は12日、住宅・建築分野で省エネルギー対策の抜本強化が必要だとする報告骨子案と、その実現に向けた工程表をまとめた。この中で、新築住宅・建築物の省エネ基準適合を大規模建築物から段階的に義務化し、2020年度までに新築住宅・建築物すべてに適合を義務付ける方向性を示した。適合の義務付けに際しては、国民負担に配慮し、客観性が高く実現可能なレベルの省エネ基準を設定するとともに、地域性を考慮し、気候風土に応じた多様な取り組みを評価する仕組みを求めた。
 住宅・建築物の省エネ対策としては現在、省エネ法で一定規模以上の住宅・建築物について省エネ措置の届け出を義務付け、その内容が著しく不十分な場合は指示・公表などの措置を課す制度を運用している。ただ、同法の対象とならない小規模住宅などの省エネ化は進んでいない。また、現行の省エネ基準(99年基準)は努力義務で罰則がなく、適合率は新築住宅で1〜2割(推計値)にとどまっているのが現状だ。
 今回の骨子案では、住宅・建築物を含む民生部門のエネルギー消費量が全体の3分の1を占め、今後さらに増加する可能性が高いことを踏まえ、住宅・建築物の省エネ対策を抜本的に強化すべきとの認識を示した。
 住宅・建築物の省エネ化に向けては、新築(大規模改修を含む)の住宅・建築物を対象に、大規模建築物から段階的に対象を拡大する方針。工程表では、面積2000平方bの建築物の適合義務化を先行させ、その後面積300平方b〜2000平方b未満、面積300平方b未満へと広げる考え方を盛り込んだ。住宅も同様の流れで進めるが、義務化の時期は住宅以外の建築物よりも遅らせる方針だ。
 適合を義務付ける省エネ基準の在り方をめぐっては、公平・中立な議論と手続きを経た上で、客観性が高く、コスト負担と効果のバランスを考慮した実現可能なレベルで設定することが望ましいとした。また、地域性を考慮し、気候風土に応じた多様な取り組みを評価できる基準の設定も求めた。その一方、より高いレベルの取り組みや技術革新を促すため、誘導水準の設定や性能表示(ラベリング)の導入も必要だとした。
 全国で5000万戸に達すると推計される既存ストックの省エネ化に向けては、規制措置がなじみにくい面があることから、補助・税制・融資を活用した省エネリフォームの拡大支援を実施すべきとした。
 住宅・建築物への再生可能エネルギー導入を促進するための取り組みとして、▽太陽光パネル設置時の建築確認不要化▽太陽光発電の設置に関する工法・施工の標準化▽再生可能エネルギーの普及拡大に向けた支援策―などを求めた。
 住宅・建設市場の活性化に向けた観点としては、省エネ対策の義務付けなどが国民生活や経済活動に支障をきたすことがないよう、中小事業者などに配慮した取り組みを進める必要性に言及。疲弊する地方経済の活性化や住宅・建設産業の後継者や技能者の育成につなげていく視点も重要とした。

提供:建通新聞社