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2011/05/19

東日本大震災を踏まえ社会資本整備重点計画の方向性を再検討 災害対応関連項目を重点目標に 国交省

 国土交通省は18日、社会資本整備審議会と交通政策審議会の計画部会を合同で開き、東日本大震災を受けて新たな社会資本整備重点計画の方向性の再検討に乗り出した。重点目標に災害対応関連の項目を盛り込むとともに、ハード・ソフトが連携した防災対策の在り方や実効性を確保する方策を強く打ち出すことなどを想定している。津波被害を受けた地域の復興に向けた基本的な考え方を6月までに先行して提示した上で、「大震災を踏まえた今後の社会資本整備のあり方」に関する中間報告を8月中にまとめる。最終報告は年内を予定している。
 社会資本整備重点計画は、社会資本整備を重点的・効果的に進めていくため今後の公共投資の方向性を示すもの。現行計画は09年3月に策定されたが、政権交代を契機としたさまざまな政策転換を踏まえ、計画を抜本的に改定することになり、10年12月に計画部会が骨子をまとめた経緯がある。
 骨子では、重点目標に▽いま整備しないと国際競争力を著しく喪失する恐れがある▽いま整備しないと将来世代に大きな負担を課す恐れがある▽いま整備することで大きな経済効果を発揮する▽いま維持管理(更新)を行わないと、将来極めて危険となる恐れがある―ものを位置付けることとした。また、計画の進ちょく状況を把握するための指標をめぐっては、従来の「アウトカム指標」に加え、事業実施の必要量や個所数を示す「アウトプット指標」を導入する方針を示した。
 今回、国交省が重点計画の在り方をあらためて検討することにしたのは、東日本大震災で社会資本整備を取り巻く環境が大きく変化しているためだ。想定外の地震や津波によって、数多くの人命が失われるとともに、道路や河川、港湾、鉄道、空港、下水道といった社会資本が被害を受けた。一方で、例えば、仙台東部有料道路が津波をせき止める防潮堤のような役割を果たすなど、社会資本整備の効果も確認された。このような現実を目の当たりにした国民の中には、防災や減災に軸足を置いた社会資本整備の重要性に対する認識が高まっている。
 重点計画の再検討に当たっては、これらの状況を踏まえ、社会資本整備が目指す姿として▽災害に強い国土構造への再構築▽高齢者やコミュニティに配慮したまちづくり▽地域産業・経済を支える都市・交通基盤―などを描く。特に災害に強い国土構造の再構築に向けては、防災地域・まちづくりの考え方を全国に展開するとともに、災害で一つの機能が停止しても代替可能な「多重性」(リダンダンシー)に配慮した整備を重視する。
 また、大震災ではハード整備によって被害を完全に押さえ込むことが難しいことが明らかになったため、ハードとソフトが連携した防災対策の在り方と実効性を確保するための方策について、従来以上に検討を深めていく方針だ。

提供:建通新聞社