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2011/07/19

がれき撤去・収集運搬作業 アスベストばく露の危険 東京労働安全衛生センターなどの調査チームが報告書

 東日本大震災の被災地におけるアスベストの状況について、NPO法人東京労働安全衛生センターと財団法人労働科学研究所、立命館大学アスベスト研究プロジェクトチームなどで構成する調査研究チームが調査報告書(第1報)をまとめた。一般大気中のアスベスト濃度は、ほとんどの測定地点で低濃度だったとした一方で、災害廃棄物(がれき)の仮置き場では、クリソタイルを含有した成形板をトラックから降ろす作業の直近で、総繊維濃度1g中53・3本、石綿(アスベスト)繊維濃度33・9本を計測したことを報告。がれきの撤去や収集・運搬に関わる作業者がアスベスト粉じんにばく露する危険性をあらためて強調し、適切な呼吸用保護具の使用などによる健康被害防止の徹底を呼び掛けている。
 報告書は、がれきの撤去が進められている多くの現場では、依然としてアスベストを含有している可能性のある吹付け耐火被覆が放置されており、飛散防止の応急措置が施されたものは見られなかったと指摘。
 がれきの仮置き場などでは、吹付けアモサイト、同クロシドライトを発見したほか、クリソタイル含有吹付けロックウールを見付けたことも報告した。また、がれきの仮置き場の作業者がクリソタイル含有建材であることを知らないまま、呼吸用保護具も使用せずに作業をしていたことを例示。アスベストには「この濃度以下なら健康被害がゼロになるという閾値はない」ことを強調し、がれき処理などに従事する作業者のばく露だけにとどまらず、居住地や学校近くのがれきの仮置き場などからのアスベスト粉じん飛散の危険性に警鐘を鳴らした。
 調査は宮城県内(仙台市、塩釜市、石巻市、気仙沼市、南三陸町など)と、岩手県内(大船渡市、釜石市、陸前高田市、山田町、大槌町、一関市など)を中心に、4月中旬〜6月中旬にかけて行った。建材のアスベスト含有分析は、露出したまま多数の人が接触できる状態で放置されている吹付け材・断熱材・耐火被覆材と、がれきの仮置き場などから採取した含有の可能性の高い建材を、実体顕微鏡と偏光顕微鏡を使用し、ISO/DIS22262―1を用いて定性分析にかけた。
 一方、気中濃度測定は、津波などで被害を受けた建物の状態からアスベストが飛散する可能性のある場所を特定。環境省のアスベストモニタリングマニュアルに沿って、位相差・偏光顕微鏡を使用して総繊維数濃度とアスベスト繊維濃度を測定した。

提供:建通新聞社