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2011/08/17

土木学会が公共調達制度改革に向けて提言 「公共事業調達法の制定を」 

 土木学会の建設マネジメント委員会は、公共調達制度の改革に向けた提言をまとめた。公共事業執行システムの将来像として、事業全体のプロセスを通じて予算やコストを管理する「事業マネジメント手法」を確立すべきと指摘。事業の目的に応じた調達方式を選択可能にするとともに、予定価格の厳格な上限拘束の廃止を検討するよう求めた。こうした考え方を具現化するため、「公共事業調達法」の制定が必要とした。
 この提言は、日本の社会資本整備と建設技術の発展に向けて、良質なインフラを整備・管理するための効率的な建設生産システムを構築する観点から、建設マネジメント委員会の下に設けた公共事業改革プロジェクト小委員会(木下誠也委員長)が策定した。
 それによると、公共調達制度を取り巻く環境について「明治以来の入札契約制度の基本的枠組みは変わっておらず、多くの問題が顕在化してきている」との認識を提示。その上で「東日本大震災のような巨大災害に対する復興などを迅速・的確に進める上でも、質の高い効率的な公共事業が重要」と強調した。
 公共事業執行システムの在り方をめぐっては、▽新規事業採択時から施設更新が必要となる時点までの事業プロセス全体で予算・時間・品質を管理する「事業マネジメント手法」の確立▽事業の目的に応じて適切な調達方式を選択可能とする仕組みや、民間の資金・経営能力・技術力を活用する仕組みなど「価値(VFM)の高い公共調達」の実現―を将来像として示した。
 事業マネジメント手法の導入に当たっては、年度予算の制約にとらわれずリスクを含めて事業をマネジメントする仕組みの構築が必要とし、その実現に向けて会計法、財政法などの法改正を検討するよう求めた。
 また、VFMの高い公共調達については、「事業の特徴、環境を勘案して、最も適切な調達区分や調達方法を検討した上でそれを実現することが求められる」と訴えた。他方、「現行法令は、交渉手続きを認めず予定価格の上限拘束を設けており、経済的に最も有利な調達をするのに必ずしも適切できない」との認識に基づき、予定価格の厳格な上限拘束を廃止する方向で検討すべきとした。
 提言に盛り込んだ公共事業調達法の制定は、受注者選定手続きや落札基準、企業評価手法、発注者の体制などを明確化することで、公共事業の適正な調達を実現しようというもの。会計法・地方自治法の適用を受けている公共事業の入札・契約については、特別法である公共事業調達法の対象とする枠組みを想定している。

提供:建通新聞社