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2011/08/26

公立小中の耐震化率80・3% 99市区町村で耐震化率50%未満 文科省まとめ

 文部科学省が毎年度行っている公立学校施設の耐震改修状況調査によると、2011年度の公立小中学校の耐震化率は80・3%で、耐震性のない建物の数は2万2911棟となった。耐震化率の伸びは2年連続で過去最高の前年度比7ポイント増となったが、依然として耐震化率が50%に満たない市区町村も全体の6%に当たる99団体に上った。また、東日本大震災の発生後に追加調査した非構造部材の耐震対策の実施率は45・4%で、対策の実施校が半数に達していないことも判明した。
 調査は4月1日時点のもので、東日本大震災で被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の3県は調査対象から除外した。11年度当初予算と11年度第1次補正予算が執行されると、耐震化率は約86%まで伸びる見通しだという。耐震診断の実施率は98・8%(0・8ポイント増)。
 一方、耐震性がない建物は2万2911棟あり、このうち大規模地震で倒壊の危険があるIS値0・3未満の学校も4614棟残っている。文科省は今回の調査から耐震化率の市区町村ランキングを公表、耐震化率50%未満の市区町村(学校組合を含む)が99団体あることが分かった。50%未満の市区町村が最も多かったのは北海道の25市町村で、大阪府の10市町、福岡県の9市町などが続いた。
 文科省は、震災後の5月に公立小中学校の耐震化を前倒しで実施し、2015年度末までに完了させる目標を初めて打ち出した。耐震化率100%を達成している市区町村が全体の32・8%に達する中、ランキングの公表などで、取り組みが進んでいない市区町村の底上げを図る狙いがある。
 耐震化率に関する小中学校以外の調査結果は▽幼稚園70・9%▽高校80・3%▽特別支援学校91%―となった。木造の小中学校建物の耐震化率は74・2%。

「非構造部材の耐震化は45・4%」

 東日本大震災の発生後に追加調査を行った非構造部材については、5月1日時点で▽天井材▽照明器具▽窓ガラス▽外装材▽内装材▽設備機器▽家具―の7項目で耐震化の実施状況を調べた。このうち、全項目で耐震点検を行った小中学校は65・3%、耐震対策を実施した学校は45・4%あった。耐震対策を実施していない学校は1万0311校に及んでいる。
 非構造部材については、有識者会議の「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会」が行った緊急提言でも、耐震化の必要性を指摘。ただ、非構造部材の耐震化に対する国庫補助は、耐震補強や改築工事と比べて補助率が低いため、文科省は第3次補正予算や12年度の概算要求などで対策を講じる考えだ。

提供:建通新聞社