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2011/09/07

国交省が簡易な施工計画に代わる方法を検討 総合評価方式の抜本的な見直しに着手

 国土交通省は、直轄工事で総合評価方式の抜本的な見直しに向けた検討に着手する。同方式の本格導入から5年が経過したことを踏まえ、品質確保への寄与度をはじめとした効果や課題を検証した上で、本年度中に方向性を固める。現時点では、技術提案を重視するタイプと簡易に技術力を評価するタイプに二極化させることなどを想定。簡易型では、簡易な施工計画に代わる効率的な評価方法を検討していく。6日に開いた「直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」に、こうした考え方を示した。
 総合評価方式は、価格と技術を総合的に評価し、落札者を決定する仕組み。2005年の公共工事品確法施行を契機として普及・拡大が進み、特に直轄工事(地方整備局発注分)では、10年度の適用率が件数ベースで99・2%、金額ベースで99・9%とほぼ100%に達した。同方式を活用すると価格競争から技術競争への移行が促され、品質確保や不良不適格業者の排除などに効果があるとされる。その一方、受発注者双方の負担増などが課題として挙がり、さらに同方式を万能視することが、発注方式を多様化する上での阻害要因になっているとの指摘もある。
 こうした状況を受けて国交省は、総合評価方式が本来の目的を果たしているかを含め効果や課題を検証した上で、改善の方向性を検討していくことにした。
 国交省が懇談会で示した総合評価方式のタイプ別の課題を見ると、高度技術提案型は「競争参加者がそれぞれの提案に基づき入札してくるため入札価格がばらつき、このことが落札率低下の一因となっている」との認識を踏まえ、「民間の高い技術力を有効に活用する観点から、予定価格の設定方法を含め、技術提案・評価の在り方について検証が必要」との考えを示した。
 標準型については、▽落札率と調査基準価格との差が小さくなってきており、技術評価点の最高得点者が調査基準価格に近い価格で落札している▽技術評価点1位と2位の得点差が縮小しており、技術評価点での差が付きにくくなっている▽1工事当たりの競争参加者数が急増している―といった現状を受けて、「技術提案・評価の在り方について検証が必要」とした。
 簡易型をめぐっては、▽簡易な施工計画の満点者が1工事当たり約6割を占め、より高い施工能力を有する者を選別する観点からは機能していない可能性がある▽簡易型は発注件数が多く、技術提案に際しての受発注者の手間は小さくない―などの問題意識から、「簡易な施工計画の役割を検証し、それに代わるより効率的な方法を検討する必要がある」とした。
 総合評価方式の見直しに向けた検討は、9月26日に開く「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」で本格化させる。

提供:建通新聞社