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2011/09/28

河川堤防の耐震対策「優先度に応じた対策を」 河川堤防耐震対策緊急検討委員会が提言

 国土技術研究センターの「河川堤防耐震対策緊急検討委員会」は27日、液状化の影響を考慮した河川堤防の耐震性能照査や、優先度に応じた耐震対策工事を早急に実施すべきとする最終報告をまとめた。堤体の液状化対策については、耐浸透機能を低下させることがないよう、当面はドレーン工などを併用する必要性を指摘。今後の課題として、効果的な対策工法や設計法の開発などを挙げた。
 東日本大震災では、東北地方から関東地方の広範囲にわたって河川堤防が被災し、被災個所は200カ所を超えた。検討委員会が被災状況を調査・分析した結果、基礎地盤や堤体の液状化が被害を大きくしたことが判明したため、最終報告は液状化を考慮した耐震対策が重要とした。
 耐震性能照査手法をめぐっては、基礎地盤の液状化を対象とした照査手法を直ちに改める必要はないとする一方、堤体では液状化による沈下・変形も照査の対象に含めるべきとした。
 耐震対策工のうち、基礎地盤の液状化対策としては、これまで実績がある対策工を基本として、具体的な設計方法を確立し、対策を実施するよう指摘。他方、堤体の液状化対策は、当面、ドレーン工を基本とすることとした。
 耐震対策の促進に向けた取り組みとして、照査結果に基づき、被害の社会的影響度や強い地震に見舞われる確率などにより合理的に優先度を定めて、効果的・効率的に対策工を実施することが必要とした。
 最終報告では、今後の技術的課題についても言及。具体的には、▽耐震対策工の施工には多額の費用を要するため、効果的な対策工法・設計方法の開発を進める▽堤体の液状化による被災のメカニズム解明を進める▽堤防の耐震性能照査の精度を向上させるため、長い継続時間の地震動が堤防変形に及ぼす影響を定量的に評価する―ことなどを盛り込んだ。

提供:建通新聞社