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2011/12/15

「悪条件下での最大クラス津波の想定を」 津波防災地域づくり法の基本指針素案 国交省

 国土交通省は、津波防災地域づくり法に基づく基本指針の素案をまとめ、14日の社会資本整備審議会計画部会・河川分科会合同会合に示した。この中で、都道府県が設定する津波浸水想定は「最大クラスの津波を想定して、その津波があった場合に想定される浸水の区域・水深を設定する」こととした。浸水区域の設定に当たっては、最大クラスの津波が悪条件下で発生し、浸水が生じることを前提に算出するよう求めた。
 津波防災地域づくり法は、東日本大震災の津波で甚大な被害が生じた教訓を踏まえ、津波に強い地域づくりを全国で推進することを目的として、12月7日に成立した。法運用に当たっては、まず国交相が津波防災地域づくりの推進に関する基本指針を定めることになっている。今回の素案では、津波浸水想定や津波防災推進計画の設定、津波災害警戒区域、津波災害特別警戒区域の指定などの基本的な考え方を提示した。
 それによると、津波浸水想定を設定・変更するために必要な調査として、▽海域、陸域の地形に関する調査(国による航空レーザ測量など)▽過去に発生した地震・津波に関する調査(津波高に関する文献調査、痕跡調査、津波堆積物調査)▽土地利用などに関する調査(津波浸水シミュレーションの実施に向けた調査)―などを明示した。 また、市町村が作成する津波防災推進計画は、「住民の生活の安定や地域経済の活性化など既存のまちづくりに関する方針との整合性が図られたものである必要がある」と指摘。このため、市町村マスタープランや景観法に基づく景観計画などとの整合を求めた。
 推進計画に記載すべき事項のうち、推進計画区域内で実施する事業・事務をめぐっては「特に人口が集中する地域など多くの避難施設が必要な地域では、津波避難建築物の容積率規制の緩和などの支援施策を用い、民間の施設や既存の施設を活用して、必要な避難施設を効率的に確保」することとした。
 都道府県が一定の社会福祉施設や医療施設、学校などの建築・開発行為を制限する「特別警戒区域」の指定に当たっては、同じ浸水深であっても、津波の到達時間、土地の利用状況、漂流物の存在によって被害の発生度が異なる可能性があるため、「地域の実情や住民などの特性を踏まえるよう務める」ことなどを求めた。

提供:建通新聞社