国土交通省と農林水産省は、東日本大震災の被災地で建設技能者の労務費が上昇している問題への対応として、被災3県(岩手、宮城、福島)の公共工事設計労務単価を改定した。51職種の県別平均単価を2011年度単価と比較すると、宮城県が7・8%増で最も上昇率が高く、岩手県は3・3%増、福島県は3%増だった。適用開始日は2月20日を予定しており、同日以降に入札する案件から新単価を使用する。国交省は周辺の地方自治体でも実態調査に着手しており、さらに5月には全国で臨時調査を行う考え。これらの調査で著しい変動が確認された場合には必要な措置を講じる方針だ。
被災3県では、復旧・復興事業の本格化に伴い、入札が不調となるケースが激増している。入札不調の原因は技術者・技能者の不足に加え、労務単価が実態と乖離(かいり)している点にあるとみられることから、最新データを単価に反映させることにした。
改定に当たっては、建設市場単価や建設業団体による調査、厚生労働省の毎月勤労統計調査などを参考として、直近の労務費の実態を把握した上で11年度単価を補正した。3カ月に1回程度のサイクルで見直していく方針で、次回は6月の改定を見込んでいる。
また、青森県、秋田県、山形県、新潟県、群馬県、栃木県、茨城県といった被災地周辺でも単価の上昇が予想されるため、国交省が既に実態調査を進めている。
公共工事設計労務単価は、相当程度の技能を持つ建設技能労働者の所定労働時間8時間当たりの基本給や基準内手当、賞与(1日当たり)、実物給与(食事の支給など)で構成し、発注者が予定価格の積算に活用する。通常は公共事業労務費調査に基づき、都道府県ごとに計51職種(06年度までは50職種)の基準額を1年ごとに見直している。12年度の全国単価は被災3県を除いた形で3月に公表する。
提供:建通新聞社