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2012/03/05

民間工事の業者選定は「アフターケア」重視 民間発注者アンケート結果

 民間発注者は建設業者の選定に当たり、価格の安さや技術力に加え、アフターケアを重視する傾向が強い―。「経営事項審査制度の利用のあり方検討委員会」(座長・大橋弘東京大学准教授)のアンケート調査で、こうした実態が浮かび上がった。経営事項審査(経審)を選定に利用している民間発注者は4分の1程度にとどまり、その活用拡大に向けて企業規模別・地域別平均値の公表などを求める声も寄せられた。
 「経営事項審査制度の利用のあり方検討委員会」は、建設業情報管理センター(CIIC)と建設業技術者センター(CE財団)が2011年5月に共同で設置した。委員会では調査研究を建設経済研究所に委託し、12年1月に検討成果を「経営事項審査結果データの活用と海外における建設企業評価手法に関する調査報告書」としてまとめた。
 その一環として実施したアンケート調査は、08年〜10年までの3年間に延べ床面積400平方b以上の建築工事の建築確認申請・標識設置を行った民間発注者(営利法人、デベロッパー、個人)やマンション管理組合など計1906者を対象に実施。11年9月から10月にかけて建設企業の選定方法や経審の活用状況を郵送方式で尋ねた(回収率10%)。
 それによると、建設業の選定方法は特命が14%、複数企業による競争見積もり(入札方式を含む)が47%、特命と競争見積もりを併用が39%。発注形態は設計施工一括が34%、設計施工分離が66%。前回99年の調査では、特命が50%、設計施工一括が48%だった。
 建設業を選定する上で重要視している点を尋ねたところ、「価格の安さ」「技術力」に加え、「アフターケア」を重視する比率が高かった。一方、金融機関や不動産会社、設計事務所、マンション管理会社からの紹介を重視する割合は低かった。
 選定に当たり入手した情報については「財務内容」が最も多く、「施工の技術力」「営業年数・沿革」「企業の評判」などの順。財務内容の入手先は「決算報告書」「信用調査会社の調査結果」「経審結果」と続いた。営業年数・沿革の情報は「建設企業のウェブサイトや営業案内書類」「信用調査会社の調査結果」「経営者などとの面談」などで入手していた。入手できれば判断材料としたと思われる情報は「工事の事故歴」「法令順守の状況」「企業の評判」などだった。

 経審の認知度は49%と、前回調査に比べ12ポイント上昇した。ただし、知っていても利用していない層が36%を占めていた。経審結果で利用している項目は「総合評定値」が最多の26%で、「経営状況分析(財務分析)」17%、「技術力(技術者の人数)」13%などが続いた。
 経審に対する要望を聞いたところ「審査内容の充実」「経審結果の表示方法の改善」「審査項目の充実」などの声が寄せられた。

提供:建通新聞社