トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2012/03/08

直轄土木積算で社会保険未加入対策 予定価格は平均0・8%上昇へ

 建設業の社会保険未加入対策の一環として国土交通省は、直轄土木工事の積算で事業者が負担すべき法定福利費を適切に計上できるよう、現場管理費の算定方法を見直すことを決めた。諸経費動向調査で得られた法定福利費について、社会保険加入率が100%となることを前提に現場管理費の計算式を改める。これによって、工事費に占める法定福利費の割合は平均で現行の3・36%から4・1%に高まり、予定価格は0・8%上昇することになる。4月1日以降に入札する工事から適用する。
 国交省の調べによると、建設業に従事する労働者の社会保険加入率は、土木工事が平均で71%、建築工事が64%となっており、製造業など他産業よりも低い水準にある。こうした状況を踏まえ同省の建設産業戦略会議は「建設産業の再生と発展のための方策2011」に社会保険未加入対策の徹底を盛り込んだ。国交省は5年後をめどに保険加入率を企業単位(建設業許可業者)で100%、個人単位で製造業並みに引き上げる目標を掲げ、「社会保険未加入対策の具体化に関する検討会」で具体策を検討してきた。
 社会保険料に相当する法定福利費(事業主負担分)をめぐっては、検討会が「発注者が負担する工事価格に含まれる経費であることを周知徹底するとともに、個別の請負契約の当事者間において見積等から適切に考慮するよう徹底する」との考え方を示した。このため、発注者としての立場にある国交省が、率先して本来の法定福利費(事業者負担分)を積算に反映させ、他の発注者に適切な法定福利費の計上を促す契機にすることにした。
 具体的には、工種ごとに設定している現場管理費率式を、公共工事労務費調査などで把握した保険加入率を考慮して改定する。これによって、予定価格は平均で0・8%上昇するが、変動幅は工種によって異なる。上昇幅が最も大きい工種は河川維持工事の1・49%で、下水道工事(1)の1・41%、電線共同溝工事の1・34%などが続く。一方、フィルダム工事は0・3%、コンクリートダム工事は0・38%などと上昇幅が小さい。
 原則として4月1日以降に入札する工事に適用するが、入札手続き期間中の案件については、4月1日時点で入札を締め切る工事から適用となる。

提供:建通新聞社