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2012/03/19

建築基本法制定は結論先送り 国交省勉強会

 国土交通省の「建築法体系勉強会」(座長・久保哲夫東京大学教授)は、建築法体系の見直しに向けた基本的な視点を報告書にまとめた。建築基本法の制定をめぐっては、賛成と反対の立場で委員の意見が割れたため、結論を先送りにした。他方、建築規制の項目・内容を改めることや、効率的で実効性ある計画変更手続きを検討することなどでは委員の意見が一致した。これを踏まえ国交省は、さらに技術的な検討を重ねた上で、段階的に建築法制の見直しに着手していく方針だ。
 この勉強会は、建築物の質を確保・向上させるため、建築法体系全体の目指すべき基本的な方向性を整理しようと、馬淵澄夫元国交相の肝いりで11年2月に設置された。馬淵元国交相は当時の会見で「理念などを含めた基本法の制定に踏み出し、これに前提に置いた関連法制の抜本的な見直しを検討する」との方針を示していた。
 今回の報告書では、建築基本法について、建築の理念、関係者の責務などを示すものとして制定を求める意見と、現行法体系に屋上屋を重ねるような法制化はすべきではないとの意見の両論が提起された。このため、国交省ではあらためてその在り方を検討していく。
 建築規制の項目・内容については、規制対象から除外・追加した場合の功罪を含め検討した上で、規制項目の見直し方針を決定する必要があるとの認識を提示。これを踏まえ国交省は「例えば、木造住宅・建築物に対する規制緩和の在り方などを先行して検討していく」考えだ。
 また、構造計算適合性判定の的確・効率的な検査の実施に向けた制度や、効率的で実効性のある計画変更手続きの在り方を検討することも提起。さらに設計者の資質確保・向上方策として、▽定期講習内容の充実▽受講情報の情報開示の強化▽資格者団体の取り組み強化―などが必要とした。一方、資格の専門分化にをめぐっては、資格を細分化・新設すべきとの意見と、市場機能の活用などで対応すべきとの意見に分かれた。
 増改築などに関係する建築規制や、不良化した建築ストックを解消するための仕組みの在り方などを検討することも盛り込んだ。

提供:建通新聞社