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2012/03/19

JASO 津波に強い建築の在り方を提言

 耐震総合安全機構(JASO、中田準一理事長)は、東日本大震災の津波による建築物の被害調査結果を踏まえ、杭基礎による支持や開口部の適切な確保など、津波に強い建築物の設計の在り方を提言としてまとめた。15日に会見した中田理事長は、津波によって建築物が大きな被害を受けたことについて、「建築界は津波に対して無関心過ぎた。今回の被害をしっかり認識し、今後の在り方を考えていかなければならない」と発言。今回の提言を、東日本大震災の被災地の復興だけでなく、東海・東南海・南海地震などで津波被害が予想される地域の事前対策にも活用していくことが重要だと指摘した。
 提言は、2011年5月から11月にかけて5回にわたって行った津波被害調査結果を踏まえ、「耐津波建築設計・診断基準」「避難」「津波に強い構造・設備」などに分けて示している。
 このうち耐津波建築設計では、▽ガラスなどの開口部を適切に配置して空気溜まりを減少し、建物への浮力を軽減▽杭基礎による建物の支持や1階部分のピロティ化で洗掘による傾斜・転倒を防止▽津波が建物内をスムーズに流れる形状の建築計画▽津波で壊れる部分と壊さない部分の適切な配置―などを提言している。
[対策を書籍化]
 JASOでは、提言の内容を、津波被害調査の事例報告とともに『3・11平成津波 被害記録と提言 津波と街と建築』として書籍化した。大震災の被災自治体だけでなく、津波被害が予想される全国の市町村に送付する。さらに、書籍の内容を解説するシンポジウムなども開催し、積極的に情報発信していく方針だ。
 書籍はA4判195ページ。定価3700円(税込み)。JASOのホームページから購入できる。

提供:建通新聞社